不動産所得は事業規模かどうかで税務が異なる

不動産所得の場合は不動産経営を「事業規模」で行っているか、副業程度のものかで税務上の取り扱いが異なってきます。

■事業で行われている判定基準「5棟10室」

不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断します。

ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。

なお、事業的規模の不動産貸し付けを開始したときは、開業の日から1カ月以内に「個人事業の開業・廃業届出書」を提出する必要があります。

(1)貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。

(2)独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

■事業規模となった場合のメリット

(1)賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失

事業規模…その全額を必要経費に算入

事業規模ではない…その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入

 (2)賃貸料等の回収不能による貸倒損失

事業規模…不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入

事業規模ではない…収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直す

 (3)青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除

事業規模…適用(青色事業専従者給与の場合あらかじめ「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要)

事業規模ではない…適用がない

 (4)青色申告特別控除

事業規模…正規の簿記の原則による記帳をおこなうなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円(電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円)の控除

事業規模ではない…控除額は最高10万円

確定申告で提出する書類

確定申告で提出する書類は以下の通りです。

・白色申告の場合…収支内訳書(不動産用)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/09.pdf)と確定申告書B(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/02.pdf

・青色申告の場合…青色申告決算書(不動産用)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/12.pdf)と確定申告書B(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r02/02.pdf

提出の義務はないものの、申告書を作るのに以下のような書類が必要となります。

  • ・収入金額や必要経費を記載した帳簿
  • ・請求書、領収書
  • ・契約書

なお、所定の帳簿・書類は7年もしくは5年の保管義務があります。

収支内訳書や青色申告決算書は、日々記帳してきた内容を集計し、決算のための帳簿の整理を行い記載していくことになります。帳簿の記帳については、詳しくは、国税庁ホームページ:「帳簿の記帳のしかた−不動産所得者用−」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou07.pdf)を参照してください。