まずは1492の医薬品が対象に

対象となるスイッチOTC医薬品名については、3月31日の厚生労働省告示で明らかにされると思われていた。しかし、実際には“イブプロフェン”や“インドメタシンなど82種類の有効成分が含まれているもの”としか記載されず、肝心な品名が不明だった。その後、厚生労働省は、国民に広く対象医薬品を周知するため、各都道府県に対して管轄下の製造販売業者に「スイッチOTC医薬品(変更)届出書」への必要事項記入の協力依頼を要請。集まった届出書を整理し、1492医薬品を対象に指定した(厚生労働省が発表した「セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧」http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000127751.pdf)。なお、このリストは、今後、追加や削除等があることから、おおむね2カ月に1回程度更新される。

第1弾(6 月17日現在)として公表されたリストから成分名ごとの商品数及び主な商品名をみると、消炎鎮痛成分であるインドメタシン(208品目)やフェルビナク(154品目)、イブプロフェン(148品目)、ジクロフェナク(74品目)を配合した肩こり・腰痛、打ち身に効く湿布薬や、鎮痛・解熱剤等の医薬品が数多く対象となっている。

主な商品名としては、インドメタシン配合の「サロンパスEX」、フェルビナク配合の「フェイタス5.0(久光製薬)」、イブプロフェン配合の「イブA錠(エスエス製薬)」、ジクロフェナク配合の「ボルタレンEXゲル(同仁医薬化工)」など。また、抗炎症成分のプレドニゾロン吉草酸エステル配合医薬品も、虫さされやかゆみ・湿疹に効く「ウナコーワエースG(興和)」など184品目が対象となっている

この他、胃もたれなどに効く「大正胃腸薬S(大正製薬)」「ガスター10(第一三共ヘルスケア)」、水虫治療薬の「ダマリンL(大正製薬)」「スコルバEX(武田薬品工業)」、花粉症に効く「アレグラFX(サノフィ株式会社)」「エージーノーズアレルカットS(第一三共ヘルスケア)」など、TVコマーシャルでもおなじみの医薬品も多く入っている。
なお、禁煙補助剤の「ニコレット(ジョンソン・エンド・ジョンソン)」、「ニコチネル(ノバルティスファーマ)」が対象とされる一方で、OTC薬ではありながらも育毛剤「リアップ」は対象とされていない。これは、対象成分にニコチンが含まれているが、リアップに使用されている成分は対象とされていないため、今回の認定が受けられなかったもの。

共通識別マーク

気を付けたいのは、同じ商品シリーズで同様の効果がありながら、成分の使い方により“対象となるもの、ならないもの”もあること。例えば、風邪薬の「ルル」をみると、「ルルアタックEX」「ルルアタックIB」などは対象だが、「ルルA錠」は対象外。こうした判別の難しさが残るこちから、日本一般用医薬品連合会はこのほど、一目で対象製品と認識できるよう製品の正面や背面にシール貼付等を含めて表示する『共通識別マーク』を決定・公表した。これにより、医薬品の箱を見れば対象・対象外の医薬品の区別が容易になる。

購入時のレシートはしっかり保管

実際に控除を受けるためには、購入したことを証明するレシートや領収書などが必要になる。医薬品名公表により既存の医療費控除の時と同様、購入するドラッグストア等で受け取る医薬品名が印字されたレシート等を申告書に添付することで済む。

セルフメディケーション税制のスタートは、平成29年1月1日以降に対象となる医薬品を購入した場合に適用される。したがって、来年は1年間に使った医療費や医薬品のレシート等をしっかり保管して、既存の医療費控除を適用するのか、セルフメディケーション税制を適用するのかをしっかり計算して申告する必要がある。

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