3. 免税とならない場合の源泉徴収の仕方

留学生に支払う給与について、租税条約による減免が受けられない場合は、日本の所得税法の規定に従い、その留学生が居住者か非居住者かの判定を行った上、それぞれの区分に応じた源泉徴収を行うこととなります。

もし、留学生が「非居住者」に該当する場合は、給与支払い時に20.42%の税率で源泉徴収しなければなりません一方、居住者」に該当する場合は、他の日本人アルバイトと同様に源泉徴収をすることになりますので、扶養控除等申請書を提出してもらえば、甲欄で源泉徴収し、年末調整をするという流れになります。

4. 留学生の居住者・非居住者の判定

では、外国人留学生の居住者・非居住者の判定はどのように行うのでしょうか。

国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合には、国内に住所を有する者と推定するという推定規定があります(所令14①一)。

学術・技芸の習得のために国内に住所を有することとなった者の住所は、その習得のために居住する期間その居住する地に職業を有するものとして上記の推定規定を適用することとされています(所基通3-2)。

よって、学業の習得のために日本に1年以上居住する場合には、来日のときから居住者として扱われます。

このように、推定規定を適用するに当たっては、職業の範囲を広く捉え、学術・技芸も職業の範囲に含めて取り扱うこととなります。

5. 対象となる「学生」とは

学生であれば、どこの学校に通っていても条約の適用対象になるという訳ではありません。

ここでいう「学生」とは、学校教育法第1条に規定する学校の学生を指しています。

学校教育法第1条に規定する学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学及び高等専門学校などをいいます。

よって、専門学校や日本語学校の学生については、租税条約上の「学生」には該当しないため、租税条約の規定による租税の免除を受けることはできません。

総括

外国人留学生を雇用する場合、パスポートや学生証、在留カードなどの提示を受け、以下の点について確認し、源泉徴収の誤りがないようにしましょう。

(1) どこの国から来たのか?

→国によって、アルバイト代が免税になる国と免税にならない国があります。

(2) 日本での在留期間は?

→居住者に該当するか、非居住者に該当するかで源泉徴収の方法が異なります。

(3) どこの学校に通っているか?

→租税条約の免税の適用が受けられる学校は限られています。

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