たとえば、今年1月から新事業年度が始まった会社において、月額200万円の報酬を得ていた社長が、新型コロナの影響で売上が激減したことから、4月~8月までの報酬を月額50万円に減額改定したものの、9月以降は景気回復が予想されることから報酬を月額200万円に戻す予定でいるとする。社長としては、事業存続や従業員の雇用維持を考え、5カ月間で750万円も報酬を下げたのだから、その後は元の報酬に戻しても、年収ベースで30%超減るため、税務署も業績悪化改定事由として「定期同額給与」を認めてくれるのではないかという気持ちも分からないではない。

しかし、この場合、多くの法人税畑の国税OB税理士は「現状の取り扱いでは、利益調整と考えられる典型的な事例。増額改定と認められ、業績悪化改定事由には該当しない」と指摘する。また、期中での役員報酬の増額を認めている「臨時改定理由」についても、「そもそも役員の職制上の変更や職務の大幅な変更、その他これらに類するやむを得ない事情でなければ該当しないことから、今回のような事例には該当しない」としている。

つまり、前述の役員報酬の「減額」→「元に戻す」というようなケースは、定期同額役員給与にはならないで、減額した金額をベースに、元に戻した「増額分」が損金不算入になるわけだ。前述した事例なら、9月~12月までを200万円に戻したとすると、「150万円×4カ月=600万円」が損金不算入となる。

そこで役員報酬税務に詳しい国税OB税理士は「後で役員報酬を戻したいなら、減額改定しないで、売り上げが減っている期間は未払いにしておくことも一つの手。源泉所得税は納めなくてはならないが、税務署も否認できない」と指摘する。

いずれにしろ、役員報酬については、税務調査で指摘されやすい部分。同族企業のオーナー社長なら、自ら報酬額を決められることから「利益調整」がしやすいだけに、税務署の目が光っていることを十分に念頭に入れておく必要がある。

(関連記事)

【アンケート調査結果】会計業界は採用に積極的!?新型コロナウイルスの中途採用への影響を徹底解説

日税連 新型コロナ感染対策の外出自粛を受けテレワーク指針公表 臨時的な業務なら自宅もOK

2020年第1四半期 M&Aは09年以来の高水準 第2四半期はコロナショックが大きく影響も

5月20日から雇用調整助成金の申請が簡便かつオンラインOKに

国税庁 経過措置期間中でもコロナ禍の影響で家賃減額なら消費税は8%OK

【コラム】ZOZO創業者前澤友作氏 コロナ禍での追徴課税報道の陰に国税関連者の匂いが・・・


バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する