3. 2020年版 法人別クライアント数の3期比較
① トーマツ:クライアント数が大幅減

クライアント数は、前年度に比べ減少しています。内訳をみると、監査クライアント・非監査クライアントともに減少。その中で収入増を果たしていることから、1クライアントごとの単価が大幅にアップしたことが分かります。
新規に就任した主なクライアントは、キヤノン株式会社、キヤノン電子株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社株式会社リコー、リコーリース株式会社、株式会社リケン、レスターホールディングスなどです。
一方、退任したのはソースネクスト、日本工営株式会社などです。
② あずさ:非監査クライアント数を減らし総クライアント数は微増

非監査クライアント数は10クライアント減となりましたが、監査クライアント数を増やしたことで、クライアント数合計は増加となりました。前年度は積極的にクライアント数を増やしたあずさですが、その勢いは弱まっている印象です。
今期新たに就任した主なクライアントは、株式会社スシローグローバルホールディングス、株式会社ジーエス・ユアサコーポレーションなどです。
退任したクライアントは、株式会社ZOZO、味の素株式会社、株式会社コロワイド、カッパ・クリエイト株式会社などです。
③ EY新日本:下げ止まらないクライアント数減

監査クライアント、非監査クライアントともに減少しています。減少幅はBIG4の中で最大の5.2%となっており、ここ数年続くクライアント数減少の流れを止められないでいます。
今期新たに就任した主なクライアントは、株式会社IMAGICA GROUP、大和ハウス工業株式会社、株式会社コスモスイニシア、株式会社KADOKAWAなどです。
退任したクライアントは、キヤノン株式会社、キヤノン電子株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社スシローグローバルホールディングス、東京センチュリー株式会社、味の素株式会社などです。
味の素は、69年ぶりの監査法人の交代となり、その理由については「継続監査期間の長さに問題意識を持ち、数年前から検討を始めていた」としています(日本経済新聞電子版2020/8/7付)。
④ PwCあらた:非監査クライアント数減が顕著

前年度に大きく伸ばしたクライアント数ですが、前々年度の基準までは落ち込んではいないものの、今年度は監査クライアント数、非監査クライアント数ともに減少しています。
新規に就任した主なクライアントは、日本工営株式会社などです。
退任したのは、王子ホールディングス株式会社などです。
〇BIG4全体のクライアント数減少に
今期はあずさを除く3法人でクライアント数減という、驚きの結果になっています。BIG4内でクライアント先を取り合うばかりではなく、中堅以下への流出が確実に起こっているようです。
公認会計士・監査審査会発表の『令和2年版モニタリングレポート』によれば、「監査事務所の規模別異動状況」を見ると、「大手監査法人(=BIG4)」のクライアント数はマイナス58の純減となっています。異動の理由は「監査報酬」がトップであり、高すぎる監査報酬を嫌い中堅監査法人に異動した企業が増えているようです。それを裏付けるように、クライアント数は減少でありながら、いずれの法人ともに大幅な増収を果たしています。
複雑化していく監査を巡り監査報酬は増大していく一方であり、企業のBIG4離れという潮流は、今後も変わりはなさそうです。
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