しかし今回の逮捕により、小野容疑者は20日付で総括審議官から大臣官房付に降格されている。

財務省事務次官の王道コースは、主計局次長(三席)→主計局次長(次席)→主計局次長(首席)→総括審議官→官房長→主計局長→事務次官と上がっていく。とくに、最終段階は、「主計局長→事務次官」が既定コースだ。早くから事務次官候補と期待されてきた岡本薫明氏(2018、29年に財務事務次官)。岡本氏は、2012年主計局次長(三席)→2013年主計局次長(次席)→2014年主計局次長首席→2015、16年官房長→2017年主計局長→2018、19年事務次官と、総括審議官こそやっていないだけで、事務次官ポストの王道コースを歩んできた。森友問題で一躍注目された太田充前次官は岡本氏と同期だが、2012年主税局審議官→2013年主計局次長(三席)→2014年主計局次長(次席)→2015、16年総括審議官→2017年理財局長→2018、19年主計局長と、ほぼ王道コースを歩んでいる。

太田充事務次官(1983年大蔵省入省)の後は、主計局長だった矢野康治氏(85年同)が就き、矢野氏の後任の主計局長には官房長だった茶谷栄治氏(86年同)、茶谷氏の後の官房長には、安倍晋三前首相の秘書官も務めた総括審議官だった新川浩嗣氏(87年同)が就いている。この新川氏の後任に小野容疑者が就いていたわけだが、今回の事件で、新川氏が総括審議官を兼務するかたちとなっている。

茶谷氏、新川氏が数年内に事務次官に就く可能性が高いことは変わりがないが、その次に来る世代として小野氏の芽はなくなったと言える。とはいうものの、国家公務員中のエリートが集まる財務省キャリアだけに、人材は豊富。誰が頭角を現すのか注目したい。

 

*以下、財務省の幹部名簿の一部(5月20日現在)。赤枠部分が事務次官レースで注目されるポジション。

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