所得金額調整控除がもれるとどうなるのか

所得金額調整控除の適用もれで変わるのは、給与所得だけではありません。

次のような影響も生じます。

課税標準額と合計所得金額と総所得金額等が変わる

所得金額調整控除があると、次の3つの金額が変わります。

  • 課税標準額
  • 合計所得金額
  • 総所得金額等

なぜかというと、これらの金額の計算に用いる給与所得の金額は「給与年収-給与所得控除-所得金額調整控除」の額となるからです。

この3つの金額が変わると、いくつかの制度に影響します。

控除の可否が変わる

1つ目は、「控除の適用の可否が変わる」ということです。

特に本人分の合計所得金額は、配偶者控除や配偶者特別控除に影響します。

「控除を受ける本人の合計所得金額が1000万円以下」が条件だからです。

所得が給与のみの場合、次のようになります。

また、所得額1000万円以下でも、所得金額調整控除の有無で控除額が変わります。

【引用元】年末調整うっかりミス!「配偶者控除=38万円」と思ってない?

さらに、住宅借入金等特別控除の適用の可否にも影響します。

住宅の床面積が40㎡超50㎡以下の場合「本人の合計所得金額が1000万円以下」が控除の条件だからです。

贈与税の非課税措置にも影響

所得金額調整控除は贈与税にも影響します。

贈与税の非課税措置のうち、次の制度は「合計所得金額1000万円以下」が条件です。

  • 教育資金贈与の非課税措置
  • 結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置
  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置(住宅の床面積が40㎡超50㎡以下の場合)

所得金額調整控除の適用もれを防ぐポイント

「所得金額調整控除、できるのにしていなかった」となると問題になります。

トラブルを防ぐなら、次を確認するといいでしょう。

ポイント1:給与年収850万円を超えるか

この制度の大前提は「給与年収850万円超」です。

これに当てはまる人はひとまず「可能性あり」と意識しておくといいでしょう。

ポイント2:23歳未満の扶養親族

次に「23歳未満の扶養親族がいるかどうか」です。

23歳未満の扶養親族がいるなら対象となります。

扶養控除の対象外となる16歳未満を見落としていないかどうかを確認しましょう。

扶養親族の所得額が48万円以下かどうかも要チェックです。

なお、扶養親族は子とは限りません。

民法で定める親族の範囲は意外と広く、次の図で表される人となります。

【引用元】No.1180 扶養控除(国税庁)

本人あるいは家族が特別障害者

23歳未満の扶養親族がいなくても、本人・同一生計配偶者・扶養親族の誰かが特別障害者なら所得金額調整控除の対象です。

特別障害者は、次のように規定されています。

その他の注意点

所得金額調整控除は、共働きの両親の双方が控除を受けられます。

「扶養している両親のどちらか一方しか受けられない」扶養控除や障害者控除とは違う点です。

年末調整では、この違いも意識するといいでしょう。

 

【参考】

■ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整「ウッカリポイント」を解説1条件と控除の額の違い、配偶者(特別)控除
https://kaikeizine.jp/article/27222/
■ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整のウッカリポイントを解説2所得金額調整控除
https://kaikeizine.jp/article/27335/
■ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整のウッカリポイントを解説3扶養控除
https://kaikeizine.jp/article/27662/


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