非課税所得が納税に影響するポイント5つ
非課税所得には、次の5つの点で税金に影響します。
1.所得税も住民税もかからない
非課税所得には所得税も住民税もかかりません。
たとえ年100万円もらっていても1円も課税されません。
2.申告がいらない
申告するのは課税する所得のみです。
そのため、非課税所得に確定申告は不要です。
3.控除の所得要件に含めない
「所得が課税か非課税か」は、確定申告や納税以外にも影響します。
その1つが「控除の可否判定」です。
所得控除や税額控除には「所得額が一定額以下」と条件を定めているものが少なくありません。
控除を受ける本人に所得要件を定めているものだけでも、これだけあります。
所得控除の種類 | 判定要件の所得 | 金額要件 | |
所得控除
|
寡婦控除 | 合計所得金額 | 500万円以下 |
ひとり親控除 | 合計所得金額 | 500万円以下 | |
勤労学生控除 | 合計所得金額 | 75万円以下 | |
配偶者控除 | 合計所得金額 | 1000万円以下 | |
配偶者特別控除 | 合計所得金額 | 1000万円以下 | |
基礎控除 | 合計所得金額 | 2500万円以下 | |
税額控除 | 住宅借入金等特別控除 (2022年1月1日以降入居分) |
合計所得金額 | 2000万円以下 (家の床面積40㎡以上50㎡未満なら1000万円以下) |
この他、災害減免法による所得税の軽減免除も合計所得金額1000万円以下でないと受けられません。
さらに、配偶者控除やひとり親控除、障害者控除では生計をともにする配偶者や親族の合計所得金額や総所得金額も確認する必要があります。
雑損控除や医療費控除、寄附金控除の計算では、総所得金額等が登場します。
この合計所得金額や総所得金額等に含めるのは課税所得だけです。
非課税所得は含めません。
【参考】総所得金額等と合計所得金額…どう違う?確定申告で使う場面も解説
4.損失があっても「なかったもの」扱い
非課税所得はプラスが課税されない一方、マイナスも課税されません。
どういうことかと言うと「非課税所得の枠内で赤字が生じても、なかったものとして扱われる」ということです。
NISA口座での株式投資の運用益も非課税所得ですが、仮にこの口座で損失が生じてもなかったものとして扱われます。
特定口座で運用している運用益と損益通算することはできません。
5.贈与税の非課税措置の可否要件に含めない
非課税所得がかかわるのは所得税・住民税だけではありません。
贈与税の制度にも影響します。
贈与税には非課税措置がいくつかありますが、これらはすべて受贈者の合計所得金額を要件の1つとしています。
贈与税の非課税措置 | 合計所得金額 |
住宅取得等資金 | 贈与を受けた年分の合計所得金額が2000万円以下 (家の床面積40㎡以上50㎡未満なら1000万円以下) |
教育資金 | 取得する年の前年分の合計所得金額が1000万円以下 |
結婚・子育て資金 | 取得する年の前年分の合計所得金額が1000万円以下 |
この合計所得金額にも、非課税所得は含めません。
非課税所得は確定申告の盲点だ
確定申告で無料相談や電話相談を受けていると、たまに「遺族年金は確定申告が必要なのか」などと聞かれます。
筆者自身「あれ、遺族年金って確か…非課税だよね?」と思うのですが、自信がなく、調べてからお返事していました。
国税庁のWEBサイトに書いてある以上に、非課税所得はたくさんあります。
いざと言うときサクッと答えられるよう、手の空いたときに調べておくと安心です。
取材記事のお問い合わせはこちらから
◆最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします。
【メルマガを購読する】
(関連記事)
医療費控除Q&A2022年版 スポーツジムはOK?考え方も確認
【2023年度税制改正3】NISA・電子帳簿保存法・暗号資産・防衛増税
【2023年度税制改正2】相続税・贈与税の一体化で生前贈与が激変!
【2023年度税制改正1】インボイスは「2割特例」「1万円未満」「登録緩和」に注目
▶その他関連記事はこちら