円安が進行しています。4月末にはついに1ドル=130円を突破しました。このような状況下、外貨預金の米ドルやユーロを売却する人もいるでしょう。ここで生じた為替差益には税金がかかります。確定申告も必要となるので注意しなくてはなりません。

■外貨預金の為替差益と利息は課税対象

外貨預金で生じた為替差益と預金利息には、所得税と住民税がかかります。ただし、それぞれ所得区分や申告の要否が異なります。

  • 為替差益は「雑所得」

為替差益とは、購入した外貨の値上がり益を言います。この逆、つまり外貨の値下がり損は為替差損です。為替差益も為替差損も、所得税や住民税の計算上、雑所得として扱われます。

雑所得は、確定申告が必要です。もし今年、外貨預金で為替差益が生じたなら、年明けに申告と納税を行うことになります。

  • 利息は「利子所得」

外貨預金で受け取る利息は、利子所得にあたります。こちらは、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税の対象となります。確定申告は不要です。

ただし、源泉徴収されるのは国内の金融機関に預けたときだけです。海外の預金口座で受け取る利子は源泉徴収されません。そのため、総合課税で確定申告をすることとなります。

■外貨預金の為替差益を確定申告すべき3つのパターン

「外貨預金で為替差益が生じた」というのは「為替差益を確定したとき」です。運用中つまり「含み益状態」のときは為替差益を確定していません。そのため、申告の対象から外れます。

「為替差益や為替差損を確定した」と言えるのは、次の3つのケースです。

  • 外貨預金の外貨を日本円にしたとき

外貨預金で運用している米ドルやユーロを売却して日本円にすると為替差損益が確定します。「売却時の外貨の額-購入時の外貨の額」がプラスなら、為替差益です。

ただし、いったん売却して日本円にしても、その後すぐ同じ通貨を購入したときは「為替差損益を確定した」ことにはなりません。含み損益として扱われます。同じ金融機関で売買したときだけでなく、別の金融機関ですぐ買い直したときも「含み損益」扱いです。

【参考】外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い(国税庁)

  • 外貨を他の外貨に換えたとき

「米ドルでユーロを買った」など、保有していた外貨を別の種類の外貨に換えたときも為替差損益が確定します。「米ドルを売って日本円に換え、この日本円でユーロを買った」と考えるからです。

  • 外貨でモノやサービスを購入したとき

保有している外貨で外貨建の商品やサービスを購入することもあるでしょう。このようなときも為替差損益を認識します。

外貨同士の交換と同じく、「いったん保有している外貨を売って日本円に換え、この日本円でモノやサービスを買った」と考えるからです。

■為替差益があっても確定申告しなくていいケース

外貨預金の為替差益を確定したら、原則、確定申告が必要です。しかし、次のいずれかに当てはまるなら、確定申告はいらなくなります。

1.給与所得者や年金生活者で他の所得合計が20万円以下

1つの勤務先でしか働いていない正社員や派遣社員、バイトやパートなど給与所得者の方だと、為替差益の確定申告がいらなくなることがあります。「為替差益の雑所得も含め、給与所得と退職所得以外の年間所得の合計が20万円以下」のときです。もし、他に独立して副業をしているなら、それも含めて所得額が20万円以下かどうかを確認します。

公的年金で生活している人も同様です。源泉徴収される公的年金等の収入額が400万円以下であり、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の年間所得の合計が20万円以下なら確定申告はいらなくなります。

ただし、給与所得者でも複数の勤務先から給料をもらっているなら、別の基準で20万円以下かどうかを判断しなくてはなりません。さらに、「20万円以下なら確定申告不要」は所得税だけです。住民税は20万円以下でも申告が必要となります。

【参考】20万円以下は申告不要?住民税で会社にバレる?副業の確定申告Q&A

2.学生や主婦など特に収入のない人の外貨の利益が48万円以下

学生や専業主婦など、特段給料をもらっていない人もいます。このような場合、次の順に計算をした結果、黒字になるのなら確定申告が必要です。

【引用元】確定申告が必要な方(国税庁)

もし外貨預金の為替差益を確定しただけでなく、他にYou Tuberや在宅ワークで稼いでいるのなら、為替差益と稼ぎ分の利益を合わせた上で、判定していきます。

■為替差益の雑所得の計算

雑所得は次のように計算します。

為替差損益なら「売ったときの日本円換算額」が総収入金額に、「購入した時の日本円換算額」が必要経費の額です。

なお、雑所得で生じた赤字は、他の所得と損益通算できません。雑所得のマイナスは「0円」として扱われます。ただし、雑所得同士の内部通算はできます。

例えば、公的年金等の雑所得が10万円、為替差損が8万円、副業の利益が5万円だったならば、雑所得の金額は「10万円-8万円+5万円=7万円」となるのです。

■外貨預金の確定申告の注意点

外貨預金を確定申告するときは、次の点に注意しましょう。

●医療費控除などで確定申告するなら「全部申告」

「医療費控除で還付を受けたい」などで確定申告するなら、為替差益も含めてすべて申告します。既述の「為替差益があっても確定申告しなくていいケース」の1か2に該当しても、いったん申告するなら全部の所得と控除を申告しなくてはなりません。

●扶養している家族は外貨預金で控除がなくなることも

扶養している配偶者や子どもが外貨預金を行っていることもあるでしょう。このようなときは、確定した為替差益の金額に注意が必要です。

配偶者や子供の所得額が48万円を超えると、扶養している自分自身が配偶者控除や扶養控除を受けられなくなります。さらに、就学支援金やシルバーパスといった行政サービスが受けられなくなるかもしれません。

円安が進むにつれ、含み益が気になるものです。しかし、いったん利益を確定すると、申告や納税、行政サービスに影響します。ご自身の状況を考慮しながらタイミングを見計らうようにしましょう。


個別転職相談(無料)のご予約はこちらから
いつでも簡単に。さらに見やすくなったKaikeiZine公式アプリKaikeiZineアプリ

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する


(関連記事)

申請は5月末まで!事前確認はどこで行う?事業復活支援金を解説

トリガー条項って何?二重課税ってホント?ガソリン税のナゾを解明

急激な円安でFXの損益を確定!税金はどう計算する?確定申告も解説

スピンオフでAT&T社の株式が一般口座へ!確定申告は必要?注意点も解説

20万円以下は申告不要?住民税で会社にバレる?副業の確定申告Q&A

▶その他関連記事はこちら