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国外財産調書のチェックポイント②「国外財産」に該当するかどうかの判定:元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識

元国税庁国際担当官 多田恭章の海外取引に関する税金知識:FX取引 確定申告のポイント

海外取引の税務調査 ここが狙われる1

海外取引の税務調査 ここが狙われる2

■為替差益の雑所得の計算

雑所得は次のように計算します。

為替差損益なら「売ったときの日本円換算額」が総収入金額に、「購入した時の日本円換算額」が必要経費の額です。

なお、雑所得で生じた赤字は、他の所得と損益通算できません。雑所得のマイナスは「0円」として扱われます。ただし、雑所得同士の内部通算はできます。

例えば、公的年金等の雑所得が10万円、為替差損が8万円、副業の利益が5万円だったならば、雑所得の金額は「10万円-8万円+5万円=7万円」となるのです。

■外貨預金の確定申告の注意点

外貨預金を確定申告するときは、次の点に注意しましょう。

●医療費控除などで確定申告するなら「全部申告」

「医療費控除で還付を受けたい」などで確定申告するなら、為替差益も含めてすべて申告します。既述の「為替差益があっても確定申告しなくていいケース」の1か2に該当しても、いったん申告するなら全部の所得と控除を申告しなくてはなりません。

●扶養している家族は外貨預金で控除がなくなることも

扶養している配偶者や子どもが外貨預金を行っていることもあるでしょう。このようなときは、確定した為替差益の金額に注意が必要です。

配偶者や子供の所得額が48万円を超えると、扶養している自分自身が配偶者控除や扶養控除を受けられなくなります。さらに、就学支援金やシルバーパスといった行政サービスが受けられなくなるかもしれません。

円安が進むにつれ、含み益が気になるものです。しかし、いったん利益を確定すると、申告や納税、行政サービスに影響します。ご自身の状況を考慮しながらタイミングを見計らうようにしましょう。

【2022年12月21日の修正について】

「外貨預金の外貨を日本円にしたとき」の項目に次のような記載がありました。

「ただし、いったん売却して日本円にしても、その後すぐ同じ通貨を購入したときは「為替差損益を確定した」ことにはなりません。含み損益として扱われます。同じ金融機関で売買したときだけでなく、別の金融機関ですぐ買い直したときも「含み損益」扱いです。」

こちらは原則、利益を確定したものとして扱われます。そのため、2022年12月21日、次のように訂正しました。

「ただし、同一通貨のまま、払い出しや預け入れを行った場合は、為替差損益を認識しません。A銀行でのドル預金をそのまま払い出し、B銀行に預け入れたとしても、為替差損益は生じなかったものとして考えます。」

筆者の認識不足でご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。


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