経理業務をIT化するには何が大切でしょうか。IT化のメリットやデメリットを確認した上で、成功させるためのポイントをお伝えします。

経理業務は、請求書など紙の書類があり、IT化が進みにくい業務の1つです。

コロナ禍があり、リモートワークが進められている会社も多いですが、経理業務の担当者は出社しなければならない、という状況もあるのではないでしょうか。

リモートワークの推進にあたって、経理業務のIT化を検討している会社もあるでしょう。

また、電子帳簿保存法の改正によって、経理関係の書類を電子データとして保存しなければならない場面が出てきます。

これまで紙の書類を保存しておけばよかったものが、電子データの保存が求められるようになってきます。

そういった面でも、経理業務のIT化が求められています。

経理業務のIT化とは、会計業務、経費精算、請求書発行、売掛金管理などについて、システムやITツールを導入することを指しています。

最近では、これらに関してさまざまなクラウドサービスが提供されています。

以前であれば、IT化をしようとすると、自社内にサーバーを構築して、システムを開発したり、パッケージソフトウェアを導入したりする必要がありました。そのため、社内のPCからしか使えないという制約もありました。

それが、近年ではクラウドサービスを用いることで、極端に言えば、IDとパスワードがあれば経理システムを利用できるようになりました。

しかも、社内からだけでなく、社外からリモートでシステムを利用することも可能です。

このように、経理業務をIT化するにあたってのハードルは大きく下がっており、IT化を進めやすい環境が整ってきています。

経理部門をIT化するメリット

まずは、経理業務をIT化することによるメリットを見てみましょう。メリットとしては、次のようなものが挙げられます。

作業を効率化でき業務時間の短縮につながる

IT化によって、これまで行っていた作業が不要になったり、作業が自動化されたりして、業務の効率化を図ることができます。

たとえば、それぞれの社員が紙の書類やExcelにて経費精算を申請していた場合、経理担当者がそれを入力や転記・確認をして集計し、振込の準備などをする必要があります。

それをIT化によって、自動で集計されるようになり作業を省力化できます。

また、請求書の発行や管理をIT化することによって、オンラインで請求書の発送ができれば、書類の印刷・郵送の手間が無くなります。

ヒューマンエラーを防ぎやすい

経理業務は数字を扱いますので、入念なチェックが欠かせません。

作業者とは別の人によるダブルチェックをしてミスの発生を防ぐようにしますが、人間の行うことですので、どうしても入力ミスや転記ミスなどが発生する場合があります。

もし振込金額が間違っていたら、後日、その差額を振り込んだり返金してもらったりする手間もかかります。

ミスの内容によっては、取引先からの信頼を損なうことにもなるでしょう。

IT化によって、人手が介在する作業が削減されれば、このようなヒューマンエラーの発生防止につながります。

データ管理がしやすくなる

紙の書類を保存するにあたっては、キャビネットや倉庫など物理的な保管場所が必要になります。

IT化によって、書類を電子化できると、保存にあたって物理的な場所を取らなくて済みます。

また、電子化されていれば、情報の検索性が上がります。

特に、情報が大量になると、多くの紙の書類の中から探すのは労力や時間がかかりますが、電子データであれば、大量のデータであっても検索しやすくなります。

さらに、データをクラウドに保存しておくと、リモートワークでも容易に必要なデータを探して活用できます。

経理部門をIT化するデメリット

経理部門をIT化するにあたってはメリットばかりでなく、次のようなデメリットもあります。

初期費用がけっこうかかってしまう

IT化を進めるにあたって、新たにシステムを開発するのであれば、その開発費用がかかります。

クラウドサービスを利用すれば初期費用を抑えることができますが、それでもカスタマイズ費用や導入にあたっての設定費用などがかかります。

また、システムを使用する担当者に新たにPCを用意することも必要になるかもしれません。

そういったソフトウェアやハードウェアにかかる費用の他に、システムのマニュアルを整備したり、使用方法の研修を行ったりする費用もかかるでしょう。

システムを使いこなすのに時間がかかる

新しいシステムやITツールを導入した場合、最初は慣れないので、どうしてもそれを使いこなすようになるまでに時間がかかります。

特に担当者のITスキルが高くないと、慣れるまでの時間がよりかかってしまいます。

また、システム開発やカスタマイズを行った場合には、当初は不具合が発生することもあるかもしれません。

それらを乗り越えて安定的に運用できるようになるまでには、一定の時間がかかります。

経理部門IT化を成功させるために

これまで見たようなメリットやデメリットを踏まえて、IT化を進めるかどうか、どのように進めるかを検討します。

次に、経理部門のIT化を成功させるためにはどのようなことが大切でしょうか。その成功ポイントを見ていきましょう。

現在の業務フローを洗い出す

経理業務のIT化といっても、経理業務、経費精算、請求書管理などさまざまな領域があります。

どの範囲のIT化を進めるのか、IT化を進めるにあってどういうシステムがよいかなどしっかりと検討することが重要です。

そのためには、まず自社の業務フローの洗い出しが求められます。

経理業務は比較的どの会社でも共通している面がありますが、やはりその会社によって独特な業務や重視したい点などは異なります。

そのため、自社の業務フローを洗い出して、どの部分がIT化しやすいか、どこをIT化すると効果が大きいかの検討が必要です。

できるだけ紙を使わないようにする

これまで紙の書類や手作業で行っていた業務をシステムに移行するにあたり、それを定着させるには「慣れ」も大切です。

紙の書類で確認した方が分かりやすい場合もあるでしょうが、これまでの習慣で紙を用いているだけという場合もあるでしょう。

紙の書類をデータに移行してみると、意外と問題ないケースも多いものです。

まずは、システムやITツールを導入する前に、紙の書類をデータ化したり、オンラインで共有したりして紙を電子に移行していくと、システムの導入もスムーズに進みやすくなるでしょう。

経理担当者のITスキルを向上させる

最近のクラウドサービスは、ユーザーの使い勝手や使いやすさを考慮されている製品が多く、ある程度、直感的にシステムを使用することができます。

とはいえ、経理担当者のITスキルが低くPCを使うのも苦労するくらいだと、システムの運用に支障をきたしてしまうでしょう。

一方で、経理担当者のITスキルが高いと、便利な機能を使いこなして、より効率的・効果的に業務を進められます。

ITスキルの向上にあたっては、基本的な知識の習得ができる無料や安価のオンラインセミナーなどがありますので、それらを利用するのも1つの方法です。

また、導入するITツールやクラウドサービスのベンダーが、導入支援の一環で研修や教育などを行っていることがありますので、問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

働き方改革やリモートワークの推進、電子帳簿保存法の改正などで、経理業務のIT化の必要性は今後ますます高まっていくでしょう。

これを機会ととらえて、自社にあったIT化を進めて、生産性の向上や効率化につなげていってもらいたいと思います。


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