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コロナ禍での資金繰りを支える、実質無利子・無担保の融資制度と申請について

新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴って、中小企業への資金繰り支援を強化するため、経済産業省では、実質無利子・無担保での融資を可能とする制度を設けています。この制度の内容と申請方法、申請に必要なセーフティネット保証、危機関連保証について説明いたします。

■実質無利子・無担保の融資制度

新型コロナウイルス感染症の影響によって業績悪化に苦しむ事業者に対して、実質的に無利子・無担保で融資が受けられる制度が設けられています。日本政策金融公庫と民間の金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)にて利用することができます。日本政策金融公庫の融資制度に関しては、こちらの記事(新型コロナウイルス感染症特別貸付の制度と申請)をご参照ください。ここでは、民間の金融機関の融資制度について説明いたします。

制度の概要は下記のようになっております。当初3年間の利子が補給されるため、3年間は無利子となりますので実質無利子と言われます。一旦は利子を支払う必要がありますが、後ほど利子にあたる金額が補填されます。また、融資を受けるにあたって、信用保証協会の保証が必要となりますが、この保証料についても全額もしくは半額の補助がなされます。

  • ・融資上限額:4千万円
  • ・補助期間:利子補助は当初3年間、保証料は全融資期間
  • ・融資期間:10年以内(うち据置期間5年以内)
  •  (据置期間中は利子のみの支払いとなり、元本は据置期間が終わってからの返済となります)
  • ・担保:無担保
  • ・保証人:代表者以外の連帯保証人は原則不要、代表者は一定要件を満たせば不要。
  • ・対象要件

以下の売上減少の要件を満たし、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証いずれかの認定を受けていること。

出典:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」

小・中規模事業者においては、売上高▲15%の場合は保証料ゼロ・金利ゼロとなっており、売上高▲5%の場合は保証料の1/2が補助されます。個人事業主においては、売上高▲5%でも保証料ゼロ・金利ゼロとなっています。

また、以前に受けた融資(信用保証付き)についても、対象要件を満たせば実質無利子融資への借換えが可能とされています。借換えができれば、利子の支払いや返済の負担が軽減されます。

■セーフティネット保証、危機関連保証

実質無利子・無担保の融資の対象要件として、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証の認定を受ける必要があります。これらは、経営の安定に支障が生じている事業者が、信用保証協会の一般保証とは別枠で保証が受けられる制度です。

まず、信用保証制度の概要を確認しましょう。

中小企業や小規模事業者が、①信用保証協会に保証を申し込んで、②保証が承諾されると、③金融機関から信用保証付きの融資を受けることができます。(実際には、事業者は金融機関を通して信用保証協会に申し込みを行います)

融資を受けた後、事業者は金融機関に対して④返済を行っていきますが、もし倒産などで返済ができなくなった場合、⑤信用保証協会が事業者に代わって借入金を弁済します。その場合、⑥事業者は信用保証協会に対して返済を続けることになります。

出典:一般社団法人全国信用保証協会連合会ホームページ

このように、金融機関にとっては、事業者が借入金を返済できなくなっても信用保証協会から支払われるため貸し倒れとなるリスクがありません。小規模事業者がはじめて民間の金融機関から融資を受けようとする場合、多くは信用保証付きの融資となります。

信用保証協会の保証は、無担保保証8千万円、有担保保証2億円の合計2億8千万円が基本的な限度額となります。これを一般枠と言います。

この一般枠とは別に、経営の安定に支障が生じている事業者に対するセーフティネット保証があります。

・セーフティネット保証4号

自然災害などの突発的な災害(新型コロナウイルス感染症を含みます)によって売上高が減少している事業者を支援するための制度です。

売上高が前年同月比(※)で▲20%以上減少している場合、一般枠とは別枠で借入金の100%保証(返済できなくなったときに信用保証協会が残額の100%を金融機関に支払う)が受けられます。

※売上高は、①最近1カ月と②その後2カ月の見込みを含む3カ月のどちらも前年比で20%以上減少していることが要件です。

・セーフティネット保証5号

業況の悪化している業種に属する事業者を支援するための制度です。(新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、現在は全業種が対象となっています)

売上高が前年同月比(※)で▲5%以上減少している場合、一般枠とは別枠で借入金の80%保証(返済できなくなったときに信用保証協会が残額の80%を金融機関に支払う)が受けられます。

※最近3カ月の売上高が前年比で5%以上減少していることが要件です。

セーフティネット保証4号・5号の別枠は2億8千万円が限度額となっています。

さらに、中小企業・小規模事業者の資金繰りが逼迫していることを踏まえて、一般枠、セーフティネット保証の別枠に加えて、更なる別枠として危機関連保証が設けられています。

・危機関連保証

売上高が前年同月比(※)で15%以上減少する事業者に対して、更なる別枠として限度額2.8億円の100%保証が受けられます。

※売上高は、①最近1カ月と②その後2カ月の見込みを含む3カ月のどちらも前年比で15%以上減少していることが要件です。

これにより、信用保証協会の保証枠には、一般保証枠、セーフティネット保証枠、危機関連保証枠が設けられています。

出典:経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」

実質無利子・無担保の融資を利用するには、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかの認定を受ける必要があります。

■融資の申請の流れ

実質無利子・無担保の融資の申請にあたっては、金融機関に相談を行います。セーフティネット保証や危機関連保証の認定申請についても、金融機関経由でワンストップでできるようになっています。

出典:経済産業省「金融機関によるワンストップ手続きのイメージ」

流れとしては、①金融機関に融資の相談・申込をする(必要書類の提出なども行う)、②金融機関での確認、③セーフティネット保証や危機関連保証の認定申請(金融機関を通して自治体に対して申請する)、④信用保証協会への保証申し込み、⑤融資の実行となります。

セーフティネット保証や危機関連保証の認定申請に必要な書類は、自治体によって若干異なります。ここでは、危機関連保証の必要書類について東京都千代田区を例に説明します。

必要書類

  • ・認定申請書
  • ・最近1カ月(申請月の前月または前々月)の試算表、前年同月の試算表
  • ・上記の月の翌月と翌々月の見込み売上高計算書(様式自由)、前年同期の試算表
  • ・登記簿謄本(個人事業者の場合は確定申告書の写し)
  • ・委任状(金融機関を通じた認定申請を行うため)

認定申請書の様式(千代田区の例)

出典:千代田区公式ホームページ

認定申請書には、(イ)の欄に、最近1カ月の売上高、前年同月の売上高、減少率を記入します。(ロ)の欄には、今後2ヶ月の見込み売上高、前年同期の売上高、最近3カ月の売上高の減少率を記入します。

融資の申請にあたっては、セーフティネット保証や危機関連保証の申請に必要な書類の他に、金融機関から審査にあたって必要な書類などを求められます。

セーフティネット保証や危機関連保証の認定がなされても、融資を受けるにあたっては信用保証協会や金融機関の審査があります。実質無利子・無担保の融資は、新型コロナウイルス感染症の影響で苦しむ事業者の資金繰りを支援する制度ですが、これを乗り越えて返済していけることを金融機関に示す必要があります。そのためにも、アフターコロナ・ウィズコロナの事業計画を練り上げることが重要になってきます。

この記事の内容は、執筆時点(2020年7月20日)の情報をもとにしています。今後、制度や申請手続きなどが変わる可能性があります。


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著者: 市岡久典

ビジョナリーマインド代表/中小企業診断士

ベンチャー・中小企業の困りごとを解決する経営サポーター。日本オラクル(株)にてITコンサルタントとして従事した後、KLab(株)にて経営企画室・管理部門の責任者として上場準備を担当。「ベンチャー・中小企業の経営を伴走して支える」「働く人の悩みに寄り添い成長を支援する」を理念に、2010年に経営コンサルタント・心理カウンセラーとして独立。
創業からの成長ステージに合わせて、事業計画策定、資金調達、内部体制の整備、システム構築、IPO支援など、さまざまな課題の解決を支援している。また、マネジメントやメンタルヘルスに関する研修、経営者や従業員へのコーチング・カウンセリングも行っている。
著書「なぜ部下は思い通りに動かないのか」(労働調査会)

■経営支援と人材支援のビジョナリーマインド
http://3cos.jp

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