4. 2020年版 人件費による比較


いずれの法人においても、人件費は増大しています。一番増加率が低かったEY新日本で前年度比2.4%アップ、高かったあずさでは前年度比7.0%も人件費アップとなりました。業務収入に対する人件費の占める割合を見ると、トーマツおよびEY新日本は前年よりもダウン、あずさおよびPwCあらたは前年よりアップとなりました。
人件費の増大の理由について、「コロナを受けて顧客企業とデータや書類をネット経由でやり取りする「リモート監査」が広がった結果、業務が遅れて残業が増えた。」と報じられています(日本経済新聞電子版2020/9/16)。事実、人員一人当たりの報酬給与をみると、いずれの法人においても、前年度よりもアップしています。
また人員一人当たり賞与については、あずさが今年度ジャンプアップを見せました。もともとあずさの賞与は高い基準にありますが、今年度の基準には目を見張るものがあります。
〇新型コロナは人件費を増加させる?
あずさは、新型コロナウイルスの影響について、「当期においては、新型コロナウイルスの影響によりテレワークを中心とした監査業務等の遂行を余儀なくされましたが、必要に応じて代替的な監査手続きを織り込みながら監査業務を実施しました」と記しています。
コロナ禍を契機としたリモート監査の流れは、働き方改革という流れにも沿うことから、今後ある程度普及していくことが見込まれます。しかし、日本公認会計士協会の手塚正彦会長が、4月21日の都内で開かれた記者会見で、在宅勤務の広がりにより「感覚として監査業務の効率が2割程度落ちている」(日経新聞電子版2020/4/21)と発言したように、作業効率という点ではまだまだ改善の余地があり、人件費増大の流れは今後もある程度続くことが見込まれそうです。
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