■注意点
繰戻還付には次のような注意点があります。
- ●繰越控除はできない
同一の赤字で繰戻還付・繰越控除を同時に行うことはできません。発生した赤字は前年の黒字と相殺して還付を受けるのに使うか、それとも翌年以後3年間繰り越して納税額を抑えるかのどちらかです。今年生じた100万円の赤字を繰戻還付に充てつつ、「翌年以後3年間に赤字100万円を繰り越す」ということはできません。
ただし、赤字の一部を前年に繰り戻し、残りを翌年以後に繰り越すことはできます。例えば、赤字300万円の内100万円だけを繰戻に充て、残り200万円を繰り越すことは可能なのです。
- ●助成金や給付金は雑収入計上
昨年、持続化給付金や家賃支援給付金、雇用調整助成金や各種補助金を受けた人もいるでしょう。これらのお金は原則すべて課税です。確定申告上、雑収入に計上します。
各種給付金や助成金、補助金を収入として計上しても赤字になるなら繰戻還付は可能です。しかし、収入として計上した結果、黒字になったのなら繰戻還付は受けられません。
- ●令和2年分から青色申告始めた人は無理
中には「令和元年分までは白色申告だった。黒字だったので『節税しなきゃ』と思い、令和2年分から青色申告になった」という人もいるでしょう。このケースでは繰戻還付はできません。前年分も今年分も青色申告していることが条件だからです。
- ●住民税の還付はできない
この純損失の繰り戻しで還付を受けられるのは所得税だけです。住民税・事業税は還付できません。住民税や事業税を定める地方税法には繰越控除の規定はあっても繰戻還付の規定はないのです。なので、地方税は繰越控除になります。
- ●期限内申告が鉄則
この繰戻還付は期限内申告が鉄則です。還付を受けるので、5年間申告可能な還付申告と混同しやすいのですが、必ず3月15日までに申告しましょう。ちなみに、期限後申告が2回続くと、青色申告の承認そのものが取り消されてしまいます。期限内申告を心がけましょう。
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