6.解説
本件では、相当地代通達の適用に当たり、土地の無償返還の届出書の適用範囲とその有効性が争われたが、本裁決の意義は、その点よりむしろ、共同相続人間で各人が納付すべき税額の計算(あん分割合)については、相続税法17条に規定する方法によるべきとした点にある。
原処分庁が、相続税の総額をあん分するに当たって、相続税法基本通達(相基通)17-1に定める端数調整(小数計算)[8]を行い、請求人の相続税額を計算したことに対し、審判所は、同法17条が、相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占めるその者の課税価格の割合を乗じて算出した金額とする(分数計算)旨規定するだけで、あん分割合の端数調整に関する規定を設けていないことからすると、当該あん分割合の算定に当たっては、原則として端数調整を行わないものと解するのが相当であるという解釈を示した。
相基通17-1は、小数計算の方法を選択した者について更正をする場合には、その選択した方法によって相続税額を計算することができるものとする旨定めているが、審判所は、更正をする場合のこの通達の定めは、小数計算の方法を任意とするものであり、更正をする場合は、通常、各財産取得者が当初申告した取得財産及びその評価額について異なる判断をされることが多く、各財産取得者の相続税の課税価格が更正の前後で異なる額となることから、各財産取得者全員が当初申告において選択した端数調整方法を更正において用いると、各財産取得者全員又はその一部の者の意に反する結果となるおそれがあるからと説明している。
このことから、原処分庁が更正をする場合において、各財産取得者が当初申告において選択した端数調整方法を用いることができるのは、例えば、更正の前後において各財産取得者全員の相続税の課税価格に増減がない場合等、極めて限定的に解するのが相当であると結論付けている。
[8] 相続税法基本通達17-1は、あん分割合に小数点以下2位未満の端数がある場合において、相続又は遺贈により財産を取得した者全員が選択した方法により、各財産取得者のあん分割合の合計が1になるようその端数を調整して、各財産取得者の相続税額を計算しているときは、これを認めて差し支えない旨定めている。
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