内部統制における各機関が持つ役割

(1) 経営者

経営者は、組織の全ての活動について最終的な責任を有しており、その一環として、取締役会が決定した基本方針に基づき内部統制を整備及び運用する役割と責任があります。

経営者は、その責任を果たすための手段として、社内組織を通じて内部統制の整備及び運用(モニタリングを含む。)を行います。経営者は、組織内のいずれの者よりも、統制環境に係る諸要因及びその他の内部統制の基本的要素に影響を与える組織の気風の決定に大きな影響力を有しているという性質を持っています。

(2) 取締役会

取締役会は、内部統制の整備及び運用に係る基本方針を決定します。取締役会は、経営者の業務執行を監督する立場にあり、経営者による内部統制の整備及び運用に対しても監督責任を有しています。取締役会は、「全社的な内部統制」の重要な一部であるとともに、「業務プロセスに係る内部統制」における統制環境の一部でもあります。

(3) 監査役等

監査役等は、取締役及び執行役の職務の執行に対する監査の一環として、独立した立場から、内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する役割と責任を有しています。

(4) 内部監査人

内部監査人は、内部統制の目的をより効果的に達成するために、内部統制の基本的要素の一つである「モニタリング」の一環として、内部統制の整備及び運用状況を検討、評価し、必要に応じて、その改善を促す職務を担っています。実務上、JSOX導入後の継続的な内部統制の整備状況評価、運用状況評価を実施する主体となるケースが多いと言われています。

まとめ

今回は、内部統制の「不備」の考え方を理解するために、内部統制の「固有の限界」と内部統制基準や法令上規定される「機関」について記載しました。

会社内に発生した問題が内部統制の問題であるのか、そもそも内部統制によっては期待できない問題であったのかは内部統制の「固有の限界」を理解することで整理ができます。

内部統制基準や法令上求められる機関設計を理解し、内部統制における相互牽制機能を発揮するために、それぞれの機関に期待される役割を理解することで、内部統制の「不備」が生じた場合も、改善すべきポイントが正しく整理できるようになると思います。


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