■ルール1:こんな支払はいつ計上する?
基本ルールを知っていても、判断しにくいことがあります。医療費の計上時期ならば、次のようなケースです。
- ●医療を受けたのと支払が別の年になったとき
年末近くに入院すると、医療を受ける時期と支払う時期がずれたりします。「前年の12月21日から29日までの分を翌年1月6日に支払う」といったこともあるのです。
「入院した年分=医療費控除の対象」と思いがちですが、ここでもルールに則って判断します。つまり、実際に支払った1月6日に医療費を計上するのです。
- ●治療費を現金で分割払いしたとき
子供の歯列矯正など、治療が長期に渡るものがあります。このようなケースは、費用も高額になりがちです。負担を軽くすべく、窓口で分割払いにする人もいるでしょう。この分割払いでも、実際に支払った日に支払額を医療費に計上します。
例えば治療費合計50万円のうち20万円を2020年に、残り30万円を2021年に支払ったとしましょう。この場合、「20万円は2020年分」「30万円は2021年分」と、別々の年に医療費として計上します。「まとめて2020年に50万円計上」はできません。
- ●医療費をクレカで分割払いしたとき
状況によってはクレジットカードで分割払いすることもあります。先ほどの「窓口で分割払い」の例を踏まえると、分割払いの都度、医療費計上するような気がします。
しかし実際は、「クレジットカード会社が立替払をした日」が計上日です。本人の代わりにクレジットカード会社が医療機関に医療費を支払っているからです。分割払いは会社への返済に過ぎません。
クレジットカード会社が医療費50万円を2020年12月に立て替え、月々5万円の分割払いが翌年1月から始まるなら、2020年に50万円の医療費を計上します。
なお、分割払いの利息は医療費控除の対象になりません。
- ●振込日と領収書日付が違うとき
医師の指示で医療器具を購入するときなど、医療費を銀行振込することがあります。ときに、実際の振込日と領収書の日付が異なることもあるでしょう。このケースでは「実際に払い込んだ日」、つまり銀行振込日が医療費の計上日になります。
■ルール2:こんな給付金・保険金はどうすべき?
また、補填のためのお金の扱いにも悩むことがあります。次のケースです。
- ●補填のためのお金は「補填対象となる医療費」だけから差し引く
治療によっては、自己負担額以上の保険金を受け取ることがあります。同じ年に「風邪で受診をした」「歯の治療をした」というのもよくあることです。
このようなとき、受け取ったお金は1年間に支払った医療費全体、つまり風邪の診察代や歯の治療代からも差し引かないといけないのでしょうか。
受け取った保険金や高額療養費は、その対象となる医療費だけから差し引きます。入院手当金なら入院で自己負担した医療費から差し引いて終わるのです。
たとえば、入院代30万円、風邪の診察代5万円、歯の治療代20万円支払い、入院手当金50万円をもらったとします。この50万円は入院代30万円と相殺して完了です。風邪の診察代5万円と歯の治療代20万円は医療費控除の対象となります。ちなみに、余った入院手当金20万円は非課税です。
- ●医療の手当金支給が確定申告期限後になるとき
「2020年の年末に手術を受けて医療費50万円を支払ったら、市から『高額療養費を支給する』と連絡があった。でも受給は2021年の4月になるようだ。まだ金額は分からない」。こういったケースでは、どう処理すべきでしょうか。
「手術代の支払=2020年」「補填するお金の支給=2021年」と別々の年ですが、支給される高額療養費は手術代補填のためのものであることには変わりありません。したがって、2020年に計上すべき医療費は「手術代-高額療養費」となります。
問題は「差し引くべき高額療養費はいくらか」です。このケースでは、自治体や協会けんぽなどに連絡してざっくりとした支給額を聞きます。そして、その金額をもって「手術代-高額療養費(概算)=医療費」を算出します。これでいったん確定申告をし、後日正確な金額が分かったところで「更正の請求」か「修正申告」で正しい医療費控除を申告するのです。
「医療費控除が還付申告になるなら5年間有効でしょう?期限後でもいいのでは?」と思うかもしれません。それでもいいのですが、遅すぎる所得税の還付申告で得するのは所得税だけです。住民税は別途還付申告をしなくてはなりません。手間を省くなら、期限内にいったん申告しておいた方がベターです。
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