さて、そうは言っても2020年の確定申告をしないわけにはいきません。今回の確定申告で注意すべき点として主なものに下記の4つがあります。

①基礎控除額の変更

これまですべての納税者が38万円だったのが、2020年分より48万円に引き上げられることになります。ただし合計所得金額が2,400万円超の方は、段階的に基礎控除額が減り、合計所得金額が2,500万円超の方は0円になることになりました。

②青色申告特別控除額の変更、給与所得控除額の変更

複式簿記で帳簿を保存している場合、これまで青色申告特別控除額は最大65万円でしたが、55万円に引き下げられることになりました。また、給与所得控除額も一律10万円ずつ引き下げられ、年収850万円超の方は段階的にさらに引き下げられることになりました。

①により多くの方は基礎控除額が10万円引き上げられたので減税かと思いきや、いってこいでプラスマイナス0。年収が高い方については増税の傾向です。

ただし、複式簿記で帳簿をつけていて、電子申告をするか電子帳簿保存をすれば、青色申告特別控除額は65万円のままとなります。どちらかと言うと会社員よりフリーランスを応援する形のように感じます。そして電子申告を広めたいのですね。電子申告は、やったことがないとハードルが高く感じるかもしれませんが、一度設定すれば税務署に行かずとも自宅から簡単に申告できるのでお勧めです。今回の改正により電子申告にするフリーランスの方が増えると思います。

③持続化給付金は課税の対象

コロナの影響で売上が落ち込み、持続化給付金を受給した方は最大で100万円の受給ですがこれは課税の対象となります。持続化給付金を収入金額に加えてもなお赤字の場合は納税はありませんが、営業による損失が出ていても、持続化給付金を加えてプラスになればそこに所得税がかかります。ちなみに、国民全員に一律10万円給付された定額給付金は課税の対象となりません。

④マスクやPCR検査は医療費控除の対象となるのか

医療費控除は「医師等による診療や治療のために支払った費用」「治療や療養に必要な医薬品の購入費用」などです。つまり、予防のためのものは医療費控除の対象となりません。マスクは感染予防のためのものなので、医療費控除の対象とはならないので注意しましょう。(会社が従業員に配った場合は福利厚生費として経費になります。)

同様の考えで、「医師等の判断により受けたPCR検査」であれば、医療費控除の対象となります。一方、単に自己判断で受けたPCR検査は医療費控除の対象となりません。ただし、その結果陽性が判明し、治療を行った場合には医療費控除の対象となります。これは人間ドッグや健康診断と同様です。(医療費控除の対象外ですが、診断の結果治療が必要であれば、医療費控除の対象となります。)

以上、例年と違う点を中心に確定申告についてお話してみました。少しずつ感染者も減り、ワクチン接種も始まったので、少しでも早くコロナが収束しますように…。

(関連記事)

専業主婦からママ税理士へ 子育てしながら働く!ライフスタイル白書

【36】:緊急事態宣言後の一主婦税理士の変化

【37】:働くママ税理士のwithコロナ、afterコロナについて考える

【38】:キャッシュレス還元もうすぐ終わり。マイナポイントは?

【39】:マイナポイントの申込

【40】:変わる試験、変わらない気持ち

【41】:法人税違反の裁判傍聴

【42】:マイナポイント入りました

【43】:オンラインセミナー・対面セミナーそれぞれのメリット

【44】:白色申告と青色申告の違い

【45】:誰でもわかる確定申告書と決算書の書き方


バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する