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相続税対策に生前贈与が有効というけれど…知っておきたい活用時の注意点

■相続税対策としての生前贈与の注意点

以上3つは「この制度を使えば税金をかけずに贈与ができる」という制度です。ただ、どんな制度もいいことだけではありません。注意点があります。

●扶養親族内での生活費・教育費は元から非課税

生前贈与をする前に確認しておきたいのが「そもそも贈与税がかからないもの」です。扶養義務者である親や配偶者から渡される生活費や教育費は最初から贈与税が非課税とされています。この他、常識の範囲内での香典や贈答、お祝いも非課税です。

【参考】贈与税がかからない場合(国税庁)

先ほど教育資金の贈与税の非課税制度を紹介しましたが、親が子に渡す教育費は元から非課税なので活用する意味があまりありません。幼い孫の将来の大学進学や留学に備えて祖父母から多額の資金援助を受けるときの検討材料にした方がよいでしょう。

●「定期贈与」とみられる恐れも

「本当は孫に1千万円をあげたいけど贈与税がかかるし…そうだ、100万円ずつの贈与を10年間繰り返せばいいんだ」と思う人もいるかもしれません。しかしこのような贈与は「最初に1千万円を贈与する契約をし、後から分割してお金を渡したにすぎない」として1千万円に贈与税が課税される可能性があります。

【参考】タックスアンサー「贈与税がかかる場合」(国税庁)

このような課税を避けるにはその都度贈与契約書を作成しておくなどの対策が必要です。

●本人にナイショの贈与は贈与じゃない

「子どもの将来が心配だから」と言って親がこっそり子供名義の預貯金を作ることが昔からありました。最近は本人確認の厳格化で他人名義の口座を作れなくなっていますが、未成年の場合は親が代理人となって子ども名義の口座を開設することは可能です。

このような預貯金は子供に存在を知らせ、成人になったら通帳も印鑑も本人に管理させなくてはなりません。でないと贈与として認められず、実質的に親の財産だとみなされます。

●非課税措置を使わない方がいいことも

教育資金や結婚・子育て資金の非課税措置は非課税枠の大きさが魅力ですが、次のような制約があります。何かとお金のかかる現役世代にとってこういった制約は足かせになるかもしれません。

  • ・お金をもらう側が最初に自己負担しないといけない(「資金を引き出す」→「教育費や結婚・子育て費用に充てる」ができない)
  • ・目的外の支出は贈与税の課税対象
  • ・贈与者が亡くなった時点で使いきれない残額があると相続税がかかる(教育資金は例外あり)
  • ・受贈者が一定年齢に達した時点で使い残しがあると贈与税が課税される

少額贈与なら通常の贈与がよいかもしれません。贈与額が200~300万円だと課税率は10~15%です。300万円の教育費の援助を受けるなら、制約の大きい非課税制度を無理に使うより20万円足らずの贈与税を払って自己負担を減らす方がメリットが大きいこともあります。

●死亡日以前3年間の生前贈与は相続財産に持ち戻し

生前贈与が相続税対策にならないこともあります。特に財産の持ち主の死期間際の生前贈与は要注意です。被相続人の死亡日以前3年間に行われた生前贈与は相続財産に加算され、相続税の課税対象となります。なお、相続時精算課税制度を使った贈与はすべて相続財産に持ち戻されます。2500万円まで税金がかからないのは贈与税の話だということを留意してください。

●相続時精算課税制度の活用は慎重に

相続時精算課税制度は既述の持ち戻しの点以外に、次のような難点があります。

  • ・一度選択した間柄の贈与は二度と暦年課税制度に戻れない
  • ・将来値上がり確実な資産でなければ節税効果は薄い
  • ・昔の贈与をうっかり忘れて相続税の申告漏れが生じる可能性がある
  • ・不動産の贈与には不動産取得税がかかる
  • ・小規模宅地等の特例が使えない
  • ・年間110万円以下の贈与でも贈与税の申告は必須

贈与税の申告を期限内に行わなければ税率20%で贈与税を課税される点にも注意しておきたいところです。

この他、生前贈与は特別受益として扱われるため、遺産分割時の争いの原因になることがあります。節税だけではなくそれぞれのライププランや価値観を含めて話し合い、家族全員の気持ちを大事にするような対策を考えるようにしましょう。


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著者: 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、納税通信、朝日新聞『相続会議』などメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)

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