アフターコロナの財政再建で増税議論の可能性

菅総裁は「経済の再生なくして財政再建なし」という安倍政権のスローガンと違わぬ主張を繰り返し、「アベノミクスを引き継ぎ、さらに前に進めていきたい」と述べている。その上で、ポストコロナを見据えた改革を着実に進めていくとも表明。地方銀行の数や、携帯電話料金の高止まりなどを問題視し、「縦割りの弊害をぶち破り、新しいものを作っていく」と規制改革に意欲を見せている。

コロナ禍の影響で経済対策は待ったなしの状況だ。政府は7月31日、財政再建の目標として2025年度の黒字化をめざしている国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)に関する最新の試算を発表。新型コロナウイルスの影響で、25年度のPBの赤字額は高い経済成長が実現した場合でも7.3兆円に拡大し、黒字化は29年度まで遅れるとした。

PBが黒字になると、社会保障などの政策経費を新たな借金に頼らずにまかなうことができるが、コロナ対策の2度の補正予算で、国の借金である国債を計57.6兆円発行するため、PBが67.5兆円の赤字まで一気に悪化する。

21年度には経済が回復し、その後も「実質2~3%程度」の高い成長を維持するという想定でも、25年度のPBは1月の前回試算の3.6兆円の赤字から大幅に悪化。コロナの影響で落ち込んだ税収の回復に時間がかかるためだ。黒字化の時期も、前回試算の27年度から2年先になる。さらに、経済成長率が現状に近い想定では、25年度のPBは12.6兆円の赤字。試算の最終年度の29年度でも黒字化できないとしている。

もともと実現が危ぶまれていた財政再建目標の達成は、コロナの影響で、さらに大きく遠のいた。アフターコロナの財政再建を考えると、識者の多くも増税というシナリオを描く。なかでも、「消費税」については、従来から欧米並みに引き上げるべきとの意見は根強い。経済産業省の凋落、財務省の復権でそれが早く実現する可能性もある。菅政権の今後の動きを注視していきたい。

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