5.解説
(1)更正処分について
審判所の審理においては、原処分庁及び再調査処分庁の調査時における請求人の供述・主張を「申述」、審判所での審理時における請求人の供述・主張を「答述」として用語を区別しているが、本件では、請求人が税関職員に対して行った申述の信用性を否定し、審判所に対する答述を採用して原処分を取消した。審判所が、請求人の答述を採用した背景には、請求人が、原処分の後とはいえ、輸入申告の一部修正を行い、関税等及び延滞税を追加で納付したことが大きいと思われる。
なお、本件では、課税仕入れに係る消費税の金額の是非については争われていないが、個人的な使用に供される輸入貨物について、税関告知書記載の価格に基づいてされた消費税等の賦課決定処分に誤りがあるとして同処分が取り消された裁決例(令和2年5月7日)がある。
(2)重加算税の賦課決定処分及び青色申告取消し処分について
本件で原処分庁は、請求人が、輸入申告額と異なる金額で仕入計上をしたことで、故意に事実を歪曲して本件輸入取引に係る仕入額を過大に計上したとして、通則法68条1項に規定する「事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装」[3]したことに該当すると判断した。本件では、中国側の輸出者であるQ社の代表者と請求人の代表取締役Kが同一人物ということなので、請求人が、意図的に真実と異なる外観を作出したものとの疑念を原処分庁が抱いたとしても当然であろう。しかし、上述したように、請求人は、結果的に自らの仕入額に一致させるべく修正申告しているため、かかる疑念は払拭されたものと解される。
[3] 青色申告の承認の取消しに係る法人税法127条1項3号では、「取引の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し(傍点筆者)」と規定されている。
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