「徳」と不断の努力
もっとも、「積む」という言い方には、「徳を積む」以外にも、「修行を積む」というような表現もあることからすれば、必ずしも物を積み上げるという、物質的なあるいは外形的な姿を表すための動詞であるとはいい難いでしょう。言語学者に確認したわけではありませんが、「徳」の反対語は「罪」かもしれません。罪の方は「積む」のではなく、「重ねる」といいますが、「努力を重ねる」のように「重ねる」という語が単に物を上に載せるという意味以上のものを有していると解されることからすると、「徳を積む」の「積む」にも物質的な意味以上のものがあるのかもしれません。
「徳」の意味については言語学者に、会計処理については会計学者に確認してみたいところです。
なお、「徳」は何もしなければ価値が減少するものの、その人の不断の努力によって絶えず「徳」が維持されているとの見方もできると思われますが、会計学における「自己創設のれん」の考え方も一つの参考になるかもしれませんね。
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中央大学法科大学院教授/法学博士
中央大学法科大学院教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第4版〕』、『クローズアップ保険税務』、『クローズアップ事業承継税制』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』、『裁判例からみる税務調査』、『裁判例からみる保険税務』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)、『キャッチアップ企業法務・税務コンプライアンス』、『キャッチアップ外国人労働者の税務』、『キャッチアップ保険の税務』(ぎょうせい)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
https://fulcrumtax.net/