トッカン
ちなみに、特別国税調査官や特別国税徴収官のことを税務職員の間では「トッカン」と呼んでいます。テレビドラマなどでご存知の方も多いかと思われますが、これは、国税査察官のことを「マルサ」と呼んだり、国税庁や国税局の課税部資料調査課のことを「リョウチョウ」と呼ぶのと同じ、隠語あるいは符牒の一つです。
高殿円『トッカンvs勤労商工会』(早川書房2011)という小説には、東京国税局京橋中央署特別国税徴収官「トッカン」の鏡雅愛(かがみまさちか)が登場します(彼は「京橋中央署の死に神」と恐れられています。)。この小説の主人公は、その鏡の直属の部下である「トッカン付き」です(同書32頁)。
特官付きは、税務署でのヒラの財務事務官の経験を経て徴収官になった者の中でも選りすぐりの者が選ばれます。そもそも、トッカンとは、ヒラの国税統括官よりも上に配置され、適用される俸給表次第ではありますが、薄紙と厚紙という2種類の役職が存在します。厚紙トッカンとは、税務署内部においては、税務署長、副署長、総務課長に次ぐ枢要な地位にあるといってよいでしょう。
前掲書に、こんな記述があります(33頁)。
「いままで、トッカンやトッカン付きは、40代や50代のベテランエリートが務める役職だった。しかし、昨今の公務員削減政策のせいで、30代の中堅の人数がごぞっと減ってしまっているのだ。このままでは、数年でいまの国税システムを支える有能なベテランが、ことごとく定年になってしまう。よって、いままで40代半ばでしかなれなかったトッカンも、いまのうちにベテランについてキャリアを積ませるという上の考えから、30代でなれるようになってしまった。トッカンの年齢が下がったなら、当然トッカン付きの年齢もまた下がる。」
この主人公は、「まだ事務官を終えたばかりの新米ペーペー」(33頁)であるのにも関わらず、トッカン付きとなっているというのです。
若いトッカンにしても、更に若いトッカン付きにしても、「突貫工事」からイメージされる俄作りとか、出来の悪さというマイナスイメージを含意しないものであることを願うばかりです。
バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます
最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします
【メルマガを購読する】
【関連記事】
・~納税のための貨幣〔前編〕:MMT理論と赤瀬川原平の模造千円札~




