依存か自立か?リーダーシップの二つの形
ここまで読んで、リーダーになるという決意ができた方、リーダーとして今後も活躍していきたいと気持ちを新たにした方にはぜひ、自分はどんなタイプのリーダーシップを発揮していくべきか、自己分析して欲しいと思います。
リーダーとしての“自分を知る”ために参考になる二つのアプローチを、『世界一ワクワクするリーダーの教科書』(大嶋啓介 著/きずな出版)からご紹介しましょう。
- コントローラー型
…「権威」「恐怖」、飴とムチで相手をコントロールして動かすリーダーシップ
- メンター型
…「憧れ」「尊敬」をトリガーに相手のやる気を引き出し動かすリーダーシップ
コントローラー型は「指示がないと動けない」「リーダーの顔色ばかり伺う」といった、他人や環境に依存する人材が育ちます。「指示待ち族」「ぶら下がり族」という言葉がありますが、まさにそうですね。ただ、“指示待ち”になってしまうのは本人の性格や特性以外に、リーダーの指導方法に原因があるのかもしれません。
反面、メンター型は「あの人と一緒に仕事がしたい」「あの人のために夢を叶えたい」といった、憧れや尊敬でやる気を引き出しチームの力を最大限にする、自立型人材を育てるリーダーシップです。
本にあるこちらの言葉はドキッとします。
『リーダーは部下を「能力」で見る人が多いですが、部下はリーダーを「人間性」で見ています。』
部下から人間性で判断されるリーダーが取るべきリーダーシップの型とは?もはや自明ではないでしょうか。
リーダーを楽しむコツ
さて、リーダーは「割に合わない」と冒頭でお伝えしましたが、それでもリーダーになったからにはそれを楽しむべきでしょうね。ここからは、「重い荷物を背負った」「ワル役」のリーダーであるあなたが、それを楽しむコツを考えていきましょう。
★ワクワク、明るく
人は様々な要素を持っています。
1人の人が良い人、悪い人と決めつけられるわけではなく、1人の人の中に「良い面」と「悪い面」がある、ということだと私は考えています。
同様に、「コントロール型」「メンター型」2つの要素はどのリーダーも持ち合わせているのではないでしょうか。
だからこそ、仮にコントロール型のリーダーであっても、やはり常に明るく振る舞い、たとえどんな状況であっても周囲を楽しませる要素を持つことが必要です。
どんなタイプのリーダーであっても、明るく振る舞い、周囲をワクワクさせながら、自分もワクワクして夢中になっていれば、部下は必ずついてきますし、リーダーの気持ちに共感した上でチームに対して貢献する気持ちや、やる気を出し、最終的には成長してくれるでしょう。
★ピンチが来たら、チャンスが来たと思う
困難に耐えるのではなく、困難を楽しんでみるべきです。
困難に向き合う時こそ、チームがまとまり、成果が最大化されやすい。だからこそチャンスであると言えます。
だから、ピンチが来たら、にんまり、とほほ笑んで欲しいのです。
そう、「ウェルカム ピンチ」なのです。
「面白くなってきたぜ」とつぶやくのもいいでしょう!
ここでリーダーとして「絶対にやり切る」という姿勢を見せれば、部下は必ずついてきますし、チームとしての団結力がまた一つベースアップするでしょう。
★もし、ピンチを乗り越えられなかったら?
うまく行かない時もあります。
しかし、ここに「成長」するための絶対的な法則があります。
思った通りに行かなくても「他者責任にせず、自分自身に原因を求めて改善する」ということです。
そして、メンバー(部下)には自分が悪かった、至らなかった、と素直に公表することで部下の信頼を勝ち取るのがいいと思います。
そう、まさに“敗軍の将、兵を語らず”、です。
個々の部下にも反省すべき点はあるでしょう、それでもリーダーが心の内を話せば、反省し、きっと成長してくれるでしょう。
そんな時は部下を責めてはいけません。
事を責めても人を責めず、ですね。
★結果よりもプロセス、褒めて育てる
「結果が大事」。これがプロフェッショナルの世界です。
しかし、未熟な部下が結果を出せるとは限りませんので、結果だけで判断するのではなく、プロセスを評価してあげるという姿勢が必要です。
プロセスが改善されていれば結果はいずれついてきます(やり方が改善されているわけですから)。
「リーダー論」として、リーダーの覚悟や部下への接し方など日々思うことをつらつらと書きましたが、いかがでしょうか。
結局は「ダメな部下などいない」ということです。(同様に、ダメなリーダーもいないと思っています。)
やる気のない部下、ダメな部下、といって決めつけてしまうのは簡単ですが、「良いところ」がない人などまずいません。だから少しでも優れている点を見つけ、最適な役割を与えて、褒めてあげる、ということを繰り返すしかないのです。
要するに部下の存在価値は「リーダー次第」だと考えてください。
もっと言えば部下の可能性に蓋をしているのは、リーダーだということです。
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