個人は自らのキャリアをどう考えればよいか?
ライフシフト2には、教育→仕事→引退というこれまでの人生の循環である3ステージ区分ではなく、年齢に関係なくマルチステージ(多様化するキャリアと引退のない人生)を歩むべきである、そのためにはキャリアチェンジを恐れてはいけない、と書かれてあります。
仮にイン氏のように、望まないリストラに遭遇しても、「検討」→「選択」→「行動」すれば、リストラされたこと自体を悲劇に感じるのではなく、前向きに捉えれば、マルチステージな生涯を送ることができる、ということです。
この「検討」→「選択」→「行動」を実行するには、土地や不動産といった有形資産はもちろん大事だが、以下の3つの無形資産が重要だとこの本では説いています。
- 生産性資産(収入を得るためのスキルや知識、仕事の仲間や評判)
- 活力資産 (バランスの取れた生活、家族や友人との良好な関係、肉体的、精神的健康)
- 変身資産 (社会の変化に対応し、新しいステージへの移行を成功させる意思と能力)
筆者は、この本をざっとですが読んだ後、マルチステージを生きるにはまずどうすればよいのか?いくつかのことを思いました。
1. 自分を「人生の主人公」と考える
つまり、「会社のために」だけで行動する必要は必ずしもなくなるのではないでしょうか
自分のマルチキャリアに役立つかどうか?という判断を部署異動や転勤の打診、という場面では判断軸の1つに据えてしまうのがよいでしょう。
2. 良い「つながり」を形成できる会社を選択する
退職後、或いは定年後のキャリアのために人脈を作れる会社、「つながり」を形成できる会社に入社すべきだし、或いは今在籍している会社にこのコンセプトを取り入れるように努力する(幹部に働きかける)のがよいでしょう。
3. 自分のスキルがアップする会社を選択する
これは研修やリスキリングに力を入れている会社、或いはもっと拡大すると新しい事にチャレンジしようとする会社、またそのチャンスに立たせてくれる会社を選択するのがよいでしょう。
4. フリーランサーになることも考えるが、円満退社し、今の会社とつながりを持つべきである
日本でも企業とフリーランサーのマッチングが盛んになってきましたし、フリーランサー自体の数も増加しているようです。しかし、現実は甘くないでしょうから、円満退社することはこれからも大切なはずではないでしょうか。
こんなところでしょうか。皆さん、いかがでしょうか?
まあ当たり前といえば当たり前のことのようにも聞こえます。
筆者も経営して20年になり、この20年間の時代の変化を肌で日々感じています。
この間、いろいろな社員を見てきましたし、もちろん、会社の制度も少しずつではありますが、変化させてきたつもりです(まだまだ足りないかもしれませんが)。
最近の若い社員の方を見ていると、大抵の方は、この①~④が比較的しっかりできている方が多いと感じています。
逆に企業側はといえば、個人個人の考え方の変化に会社が制度対応をキャッチアップさせるにはそれなりのスピード感や大きな決断が伴う、ということも実感しています。
ライフシフト2に登場する会計士イン氏のケースでは、図らずも本人がいわゆる「リストラ」を契機に自分の次のキャリアを考える、というストーリーになっていました。しかし、コラム冒頭の「大量離職時代」で自発的に仕事を離れている方々のように自ら進んで自らのキャリアを多様化させるべく選択する、ということを真剣に検討する時代なのでしょう。
企業はどう対応すべきか?
では企業側は具体的にどのように考えていけばよいのでしょうか?
思いつくままにメモをしていきますと・・・・
1. リスキリングの推進
冒頭のアマゾンやウォルマートのように、リスキリングを社員研修としての位置づけではなく、ブランド力強化、市場獲得、社会貢献のために推進していくことが求められてきます。
人手不足の中、雇用市場の中で「選ばれる会社」になるためには、社員研修の枠だけで考えていては限界があるということです。
2. 入社年齢の多様化
個人がマルチステージの人生を選べるようになるには、人生のあらゆる段階のあらゆる年齢の人たちに対して企業の門戸が開かれていなければなりません。例えば、子育てを終えて仕事に復帰する親、早期の退職を選択した人、あるいは前述の例のようにキャリアの中盤でリストラにあった人なども当てはまるでしょう。さまざまな年齢の人を採用する動きは、すでに一部で見られるようになってきています。
3. 昇進制度の柔軟化
採用に限らず、昇進制度についても再構築が必要でしょう。1つの会社で長期に渡ってキャリアを積む時代ではなくなってきているからこそ、社員が自らのスキルを活かす場を増やしたり、別職の同格の役職で活躍することができたりと、個人のキャリア形成の新しい形を企業側が準備することが望ましいです。こうした柔軟なキャリア選択を後押しできる企業が今後の社会に必要とされることでしょう。
4. 退職の新形態
入るタイミングだけではなく、出るタイミングについても、企業側の工夫が必要です。従来のような、決まった年齢での退職制度のままでは、今の状況の変化に耐えていくことができません。これには政府のバックアップも重要ではありますが、企業側の努力として、例えば引退の道筋を選択性にするなどの対応が挙げられます。フルタイムで働きたい人、柔軟に少しずつ仕事を減らしていきたい人、さまざまなキャリア選択を後押しできるよう、あらかじめいくつかの選択肢を設けておくようにすれば、社員が未来の計画を立てやすく、社員が働きやすい企業になることができます。
5. 子育て社員への対応
働きながら仕事をする親たちは、キャリア形成において厳しい状況に置かれてきました。しかし大半の企業は、そうした活動のために仕事時間を減らすことは難しく、金銭的ペナルティを伴うことが多いことが現状です。よって賃金格差や精神的な不満により、子育てを終えた社員がいざ復帰をする際には、業種や職種を変えるケースが多く見受けられます。企業はこのような現状を打開するため、女性社員向けの新入社員導入プログラムを作ったり、女性採用枠を増やしたり、メンタリング制度を導入したりしてきました。これらの取り組みに加え、男女共同参画の観点から、今後は男性の家庭参画支援の取り組みも必須となってくるでしょう。
わかりやすく言えば、「人生100年時代」を応援する、「マルチステージの人生」を応援するという姿勢が必要であるということでしょうか。これらのことを1つの企業が行っていくのはもちろん大変なことですので、当然に官民一体の取り組みも時には必要でしょう。
企業経営者にスポットを当てれば、もちろんのことですが、高い収益性に裏付けられたリスキリングの原資も必要になりますね。
(以上、日経ビジネスNO2118、ライフシフト2を参照要約)
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