■資本性劣後ローン利用の注意点
資本性劣後ローンでは、通常の融資に比べて審査のハードルが高くなります。
上記の日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンでは、対象者は次のように示されています。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた法人または個人企業の方であって、次のいずれかに該当する方
1.J-Startupプログラムに選定された企業又は中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンドから出資を受けた方
2.中小企業再生支援協議会の支援を受けて事業の再生を図る方
3.原則として認定支援機関の指導を受けて事業計画を策定した方であって、かつ民間金融機関等との協調支援により事業の発展又は継続を図る方
1の投資ファンドから出資を受けている方、2の再生支援協議会の支援を受けている方を除くと、3となります。3については、認定支援機関の指導を受けて事業計画を作成した上で、事業計画の実施に必要な資金について、資本性劣後ローンに加えて民間金融機関からも融資を受けられる見込みが必要です。
事業計画に関して、商工中金の資料に「早期に事業を回復・成長軌道に乗せるなどし、収益(内部留保)を積み上げることで、返済期日までにご返済資金の確保を目指す、一定の実現性のある事業計画の作成が必要」とありますように、収益をあげられる実現性の高い事業計画の作成が求められています。
また、資本性劣後ローンは、業績に応じて利率が変わる点に注意が必要です。
日本政策金融公庫の新型コロナ対策資本性劣後ローンの場合、4年目以降は、前期決算の税引後当期純利益によって利率が変わります。税引後当期純利益がマイナスであれば、3年目までと同じように1.05%となります。ただし、税引後当期純利益が0円以上の場合、利率が3.4%もしくは4.8%となります(融資期間によって異なります)。こうなった場合、通常の融資と比べるとかなり高い利率となります。
資本性劣後ローンは、金融機関にとってはリスクが高い融資となりますので、業績が上がった場合にはこのように高い利率が設定されています。
資本性劣後ローンは、金融機関から資本と見なされる、返済期間が到来するまでは元本を返済しなくてよいといったメリットがある一方で、通常の融資と比べて審査を通過するのが困難で、将来の業績によって金利が高くなるといったデメリットを知った上で活用をご検討いただければと思います。
この記事の内容は、執筆時点(2020年11月24日)の情報をもとにしています。今後、制度や申請手続きなどが変わる可能性があります。
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