5.解説
上記4.(1)のとおり、消費税率の引上げ(5%→8%)に伴い、「(その)前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化する観点等から、平成25年度税制改正において住宅ローン減税の拡充措置を講じた」[1]ことにより、特定取得の制度が設けられた。特定取得に該当[2]すると、居住年が令和2年である場合(認定住宅[3]の新築等以外)の同年分の控除額は最大40万円[4]であるのに対し、特定取得に該当しないと、同年の控除額最大額は20万円[5]に減額される。かかる上限額は平成27年分も同様であったため、請求人は、E社に支払った仲介手数料に着目したものと解される。周知のごとく、消費税は、事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等に課せられる(消費税法第4条第1項)ため、事業者ではない(と思われる)Fが行った本件住宅の譲渡には当然消費税等は課税されない。本件は、特定取得該当性を判断する場合の「対価の額」又は「費用の額」はあくまで本体の家屋及び敷地をいうものという常識的な判断を示したものといえよう。
[1] 「消費税及び地方消費税の引き上げとそれに伴う対応について」平成25年10月1日 閣議決定
[2] 現在では住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の額が8%又は10%の税率により課されるべき場合の住宅の取得をいうとされる。
[3] 長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅及び土地の低炭素化の促進に関する法律に規定する低炭素建築物に該当する家屋をいう。
[4] 住宅借入金の残高最大4千万円に1%を乗じた金額。
[5] 住宅借入金の残高最大2千万円に1%を乗じた金額。
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