リーダーの悩みは、「頑張るポイント」を変えて解決

①「マイクロマネジメント」が部下のチャレンジ精神を奪う

仕事でミスは許されない。なので細かく指示もするし、確認もする。一人前ではなく“指示待ち”傾向のある部下は、細かく指示しないと動かない。

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責任感のある上司ほど、マイクロマネジメントに陥りやすいものです。

そこでこの責任感を、「自分のこと」ではなく「部下を成長させること」に向けると、マイクロマネジメントを手放すことができます。

「やらされた仕事」では成長に繋がりません。致命的なミスではないならそれも本人の成長の肥やしだと割切り、部下の成長の機会を奪うことから卒業しましょう。

②意識すべきは「信用」と「信頼」の違い

部下が上手くやった時、成果をきちんと褒めているし評価している。でもなかなか部下のモチベーションを上げることができず、部下から信用されていない。部下の心を掴めない。

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部下の心は掴まない。部下を「受け止める」ことを心掛ける。

みなさんには尊敬できる上司はいますか?

エン・ジャパンが行った調査によると、約7割のビジネスパーソンが尊敬できる上司に出会った経験があるとのこと。そしてその理由の1位が「人柄が信頼できる」。

●信用…言ったことは必ずやってくれる。分からないことをきっちり教えてくれる。いわゆる“きっちりとしている”こと

●信頼…どんなことがあっても、「自分の味方」になってくれる。ミスや上手くいかなくても信じてくれる。いわゆる“認めてくれ、大事にしてくれている”こと

リーダーが心がけるべきは「信頼」です。上司から認められる効果は、上司が想像しているよりも絶大です。皆さんも身の回りを振り返ってください。良い関係値を構築できている上司がいれば、おそらくそれは信頼で繋がっているのではないでしょうか?

③最高のリーダーは「会社のため」とは言わない

マイクロマネジメントを手放したし、部下から信頼を得られるように努力している。部下を成長させるために自主性を重んじている。結局リーダーが言えるのは「頑張れ」しかない。

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一流のリーダーは「何をなすべきなのか、どうしてやらねばならないのか」を説き、新たなやりがいを喚起する

三流のリーダーは、「業務の指示・確認」と「ご機嫌取り」しかせず、二流のリーダーは、「目標を達成しよう」と会社の幸せを熱弁する。そうではなく、真のリーダーが語るべきは社会やお客様のために何をなすのか、ということであり、それによって部下が「この仕事が誰かの役に立っているはずだ」と感じることが重要です。部下が自己の中から「やりがい」を生み出すことです。

マネジメント≠リーダーシップ

リーダーやリーダーシップについて2回に亘り考えてきましたが、ここで「マネジメント」について気になってきました。使うシーンはほぼ同じで、それぞれ非常に似ている言葉ですが、役割はまるで真逆。

マネジメントの動詞はmanage、つまり「管理」「経営」ですね。

一方でリーダーの動詞はlead。「リードする」は日本語でも良く使いますよね、導く・先導する・引っ張る、といったイメージ。

ビジネスにおけるマネジメントとは、それこそ経営の基本「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源を活かして、組織の目標を達成していくこと。成果を数字で測れることだと私は考えます。

対して、リーダーとは、今回のコラムで書いたようにヒトを中心とした役割です。つまり個人を導いて組織の目標を達成していくこと。その過程のKPIは定量的には設定できないでしょう。

このマネジメントとリーダーシップを混同してしまうのは危険ですね。組織の目標は一つ(多くの企業が利益の確保でしょうか)ですが、マネジメントとリーダーではそれを達成する役割が異なる。

リーダーとして抜きんでた活躍がしたい、自分のリーダーとしてのスキルをブラッシュアップしたいと考えた場合にはこの「マネジメント」の視線を入れると良いかもしれませんね。組織や経営を俯瞰して捉え、そこに向かって部下をリードしていく、ということです。

その際に大事なことはたった一つ。今回のコラムで述べた「たった一人で頑張らない」これだけです。

どうでしょうか?これからリーダーにチャレンジする人も、リーダーとして結果がまだ出ていない人も、少しは気が楽になり前向きに考えられたのではないでしょうか。

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