5.解説

消費税法第9条の2は、平成23年度の税制改正で導入されたが、「平成23年度税制改正の解説」[1]では、「課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円以下の事業者については、原則として、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、納税義務が免除されます(消法9①)。この結果、例えば、1期目の課税売上高が3千万円、2期目の課税売上高が5千万円であったような場合、1期目から相当の課税売上高があるにもかかわらず、実際に課税事業者となるのは3期目からとなってしまうことや、こうした制度を悪用した租税回避等も散見されていました。こうしたことを背景として、平成23年度改正においては、課税の適正化の観点から事業者免税点制度における免税事業者の要件を見直すこととされました。」と説明している。すなわち、ここで例示されているような相当な課税売上高がある新設法人に対する課税の強化策として導入されたのが「特定期間」の考え方であった。消費税法第12条の2に定める新設法人の場合等を除き、消費税はそもそも基準期間のない事業者には課税されないという前提を置いているのであるから、本件は、事後的に導入された特定期間についても単独で納税義務を判定し得るかが問われたことになる。審判所は、その条文構造(同法第12条の2第1項の括弧書の解釈)及び立法趣旨からこれを明確に肯定したことになる。

なお、特定期間における納税義務の判定は、課税売上高に代えて、給与等の金額により行うことも可能であり、請求人の場合両者とも1千万円を超えていたことが問題とされ、消費税等の決定処分に至ったものと解される。


[3] https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11122457/www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2011/explanation/PDF/p643_657.pdf


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