自然科学と租税法
さて、このように、必ずしも分類が明確でない対象物を、申告納税制度の下で納税者が判断しなければならないとすると、納税者の確定申告における義務はこの点においてさらに重くのしかかることになるでしょう。
仮に、「パンダの譲渡は非課税とする」という条文があったとき、「レッサーパンダ」の譲渡は課税対象と解すべきか否か・・・簡潔にいえば、こういった議論が上記の各裁判例の根底に流れている問題といってよいでしょう。
ただでさえ複雑難解と呼ばれる租税法上の概念の理解において、自然科学分野での議論も検討しなければならないとなれば、その道の専門家でない一納税者には酷となる場面も想定されるところです。
もっとも、ジャイアントパンダとレッサーパンダの生物学上の分類に争いがあることが上記の通りであることを踏まえれば、「パンダの譲渡は非課税とする」という法律は、課税要件明確主義の観点から問題がある立法ということになるかもしれませんね。
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中央大学法科大学院教授/法学博士
中央大学法科大学院教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第4版〕』、『クローズアップ保険税務』、『クローズアップ事業承継税制』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』、『裁判例からみる税務調査』、『裁判例からみる保険税務』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)、『キャッチアップ企業法務・税務コンプライアンス』、『キャッチアップ外国人労働者の税務』、『キャッチアップ保険の税務』(ぎょうせい)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
https://fulcrumtax.net/