自然科学と租税法

さて、このように、必ずしも分類が明確でない対象物を、申告納税制度の下で納税者が判断しなければならないとすると、納税者の確定申告における義務はこの点においてさらに重くのしかかることになるでしょう。

仮に、「パンダの譲渡は非課税とする」という条文があったとき、「レッサーパンダ」の譲渡は課税対象と解すべきか否か・・・簡潔にいえば、こういった議論が上記の各裁判例の根底に流れている問題といってよいでしょう。

ただでさえ複雑難解と呼ばれる租税法上の概念の理解において、自然科学分野での議論も検討しなければならないとなれば、その道の専門家でない一納税者には酷となる場面も想定されるところです。

もっとも、ジャイアントパンダとレッサーパンダの生物学上の分類に争いがあることが上記の通りであることを踏まえれば、「パンダの譲渡は非課税とする」という法律は、課税要件明確主義の観点から問題がある立法ということになるかもしれませんね。


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