最も注意すべきは「106万円」「130万円」の社会保険の壁

「106万円の壁」「130万円の壁」は社会保険に影響

106万円と130万円は社会保険料の壁になる。一定規模以上の会社でアルバイトやパートをすると、年収106万円以上で社会保険に加入しなくてはならない。社会保険に加入することになると、パート収入の中から、厚生年金、健康保険を負担することになる。

夫の社会保険なら、厚生年金も、健康保険料も納める必要はないが、自分自身で社会保険に入るとなると、勤め先(パート先)で厚生年金と健康保険に加入することになる。

厚生年金と健康保険の保険料の支払いは「労使折半」のため、会社と個人が半分ずつ負担することになる。

健康保険料を支払うとなると、協会けんぽ(政府管掌健康保険)に入っていれば、東京都の自己負担健康保険料率(40歳未満/介護保険未加入)は、4.935%(9.87%÷2(半分))となる(令和2年3月分~)。つまり、月11万円(年収130万円÷12カ月の標準報酬月額)だったら自己負担健康保険料は5428円。40歳以上で介護保険に加入する場合は、約6413円になる。これを年間にすると、健康保険料負担額は6万5136円(5428円×12カ月)になる。

また、厚生年金保険料も納めるとなると、自己負担厚生年金保険料率は、9.15%(18.3%÷2(半分))。11万円(年収130万円÷12カ月の標準報酬月額)の人の自己負担健康保険料は、1万65円となり、年間の厚生年金保険料負担額だけで12万780円(1万65円×12カ月)となる。

控除内で働く年収を計算するとき、社会保険で注意したいのが交通費だ。会社から交通費が支給されていれば、所得税の計算では一定額までが非課税となり、年収に加える必要がない。しかし、社会保険の計算は異なる所得税と違うのだ。

社会保険においては、労働の対価である報酬すべてを入れて計算さることになり、支給された交通費も収入として年収の中に含めることになるため、「106万の壁」「130万の壁」で働いていたつもりが、交通費分だけオーバーしてしまうなんてこともあり得るのだ。たとえば「130万の壁」に該当する職場で働いていて、年間の賃金を125万で抑えているにも関わらず、月々の交通費が5千円支給されているのであれば、年間6万となるため、年収が131万円となり、社会保険料を支払うことになってしまう。

「106万円」「130万円」の壁のどちらに引っかかるかという線引きは、以下のフローチャートを使えば分かりやすい。

では、将来の受け取れる年金はというと、

【標準報酬月額11万円を20年間加入した場合】

標準報酬月額11万円×5.481/1000×加入月数240カ月(20年×12カ月)

=約14万4698円/年……約1万2058円/月 終身

【標準報酬月額11万円を1年間加入した場合】

標準報酬月額11万円×5.481/1000×加入月数12カ月(1年×12カ月)

=約7234円/年……約602円/月 終身

※現行基準の試算のため将来変動する可能性あり

なお、老齢厚生年金の支給要件は原則、国民年金(老齢基礎年金)加入期間10年以上(保険料納付済期間と保険料免除期間の合計)で、厚生年金保険の被保険者期間が1カ月以上あること。

「社会保険上の扶養」と「所得税法上の扶養」の二つ“壁”のうち、より強く意識すべきなのは、超えてしまったときに影響が大きい「社会保険上の扶養」だ。特に配偶者の場合、年金も負担することになるため、106万円もしくは130万円を超えることが大きなデメリットになってしまう可能性がある。ただし、106万円を超えて勤務先で厚生年金に加入した場合、将来受け取れる年金額は高くなる。また、勤務先の社会保険の場合は、保険料の半分を会社が負担してくれるため一概に損をするとはいい切れない。将来の年金を計算してもて、どちらが得か考えてみる必要がある。

ちなみに、「106万円の壁」に関しては、企業規模要件が見直される予定で、2022年10月に100人超、2024年10月に50人超の企業まで拡大することになっている。50人超になれば新たに65万人のパートが社会権に加入する見込みだ。

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