5.解説
国境を越えた電子通信利用役務の提供については、国内事業者との課税の公平の観点ら、かねてよりOECD等で議論があり、電子通信利用役務の提供については、役務提供者の住所地を役務提供地とする原則(いわゆる「原産地主義」)から、役務の提供を受ける者の住所地(いわゆる「仕向地主義」)に考え方の転換が図られたところである。我が国においても、国際的な潮流を受け、デジタルコンテンツ提供の内外判定について、平成27年度改正により、役務の提供を受ける者の住所地に変更されたのは記憶に新しい。したがって、平成27年度改正後であれば、本件は電気通信利用役務に該当するので、請求人の住所が国内にある以上、アマゾン契約のうち出品サービス及びクリックスサービスについても国内取引となろう。
ところで、請求人の主張には、平成21年(2009年)に東京国税局が、米国アマゾン社の物流センターについて、単なる倉庫以上の業務が行われていると認定し、恒久的施設(PE)として課税処分を行った[3]ことが背景にあると思われる。すなわち、日本国内にある恒久的施設が、消費税法施行令6条2項7号(当時)にいう事務所等に該当しないか、という問題提起である。この点について審判所は判断を示していないという批判がある[4]。
[3] この時アマゾン側は東京国税局の処分に納得せず、最終的には日米間の相互協議に持ち込まれたものの、日本側の主張はほとんど認められなかったといわれている。ところが、このような課税の状況は、OECDのBEPSプロジェクトでも取り上げられ、最終報告書(行動7)で、「人為的にPEの認定を逃れることを防止するため、租税条約の定義を変更する」ことが勧告された。その後、令和元年(2019年)には、アマゾンは一転、日本国内の販売額を日本法人の売上高に計上する方針に転換し、平成29年12月期と平成30年12月期の2年間で約300億円弱の法人税を納付していたことが報道されている(https://www.sankei.com/article/20191222-JL5WETXIBVMZLBRGFRZ6ERZZXI/)。
[4] 齋藤吉英『米国アマゾン社の役務提供に対する支払手数料の仕入税額控除適用の可否』(税務弘報2021年3月・中央経済社)164頁。
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