コロナ禍に端を発した経済状況の悪化は未だ出口が見えず、厳しい状況が続いています。再度の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の発令を受けて、「月次支援金」という新しい支援金が始まるなど、各種支援策はさまざまに用意されています。一方、持続化給付金や家賃支援給付金は申請受付が終了するなど情勢は流動的です。
2021年5月現在個人事業主が受けられる支援金・給付金・助成金・補助金についてまとめました。
<支援金>
◆月次支援金 上限10万円/月
一時支援金に代わって登場した「月次支援金(げつじしえんきん)」。
2021年4月からの飲食店の休業・時短要請、外出自粛の直接的・間接的な影響を受けて売上が落ちた事業主に支給されます。
〇対象者:要件を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます
〇要件:
①対象月の緊急事態措置またはまん延防止等重点措置(以下「対象措置」という。)に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
②2021年の月間売上が、2019年または2020年の同月比で50%以上減少
〇給付上限額:10万円/月
〇給付額:2019年または2020年の基準月の売上ー2021年の対象月の売上
〇対象月:対象措置が実施された月のうち、対象措置の影響を受けて、2019年または2020年の同月比で、売上が50% 以上減少した2021年の月
〇基準月:2019年または2020年における対象月と同じ月
〇申請書類:
・2019年・2020年の 確定申告書
・2021年の対象月の売上台帳
・宣誓・同意書
・本人確認書類(個人事業者等)
・通帳
・2019年から対象月前月までの売上台帳
〇申請期間:4月・5月分…2021年 6月中下旬~8月中下旬、6月分…2021年 7月1日(木)~8月31日(火)
〇WEB:経済産業省「月次支援金」 https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/index.html
◆一時支援金(5/31締切) 上限30万円
「一時支援金」は、2021年1月に発令された緊急事態宣言の影響緩和のための給付金です。4月以降発令分は、前述の「月次支援金」となります。
〇対象者:要件を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます。
〇要件:
①緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けていること
②2019年比または2020年比で、2021年の1月、2月または3月の売上が50%以上減少
〇給付上限額:30万円
〇給付額:2019年または2020年の1月~3月の合計売上ー 2021年の対象月の売上×3ヶ月
〇対象月:2021年1月~3月の間から任意に選択した月
〇申請書類:
・履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
・2019年・2020年の確定申告書
・2019年1月から2021年の対象月の売上台帳
・収受日付印の付いた2019年1月~3月及び2020年1月~3月までをその期間に含む全ての確定申告書類の控え
・2019年1月から2021年対象月までの各月の帳簿書類 (売上台帳、請求書、領収書など)
・2019年1月以降の事業の取引を記録している通帳
・代表者または 個人事業者等 本人が自署した宣誓・同意書
・2019年~2021年の各年1~3月における顧客の情報がわかる取引先情報一覧
〇申請期間:2021年3月8日(月)~5月31日(月)
〇WEB:一時支援金ホームページ https://ichijishienkin.go.jp/
◆新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け) 上限7500円/日
2021年1月~3月の間に、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなっている際に受けられる支援金です。
〇対象者:次の(1)から(6)のいずれにも該当する保護者
(1)保護者であること
(2)①または②の子どもの世話を行うこと
①新型コロナウイルス感染症に関する対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等に通う子ども
②新型コロナウイルスに感染した子ども等、小学校等を休むことが適当と認められる子ども
(3)小学校等の臨時休業等の前に、業務委託契約等を締結していること
(4) 小学校等の臨時休業等により、子どもの世話を行うために、業務委託契約等に基づき予定されていた日時に仕事ができなくなったこと
〇要件:支援金の支給対象日は、支給対象期間のうち、発注者との業務委託契約等に基づく仕事を取りやめた日です。ただし、当該日の一部でも、発注者との業務委託契約等に基づく仕事を行った日は支給対象日から除かれます。
〇給付上限額:支給対象日数×日額 7500 円
〇対象期間:2021年1月~3月
〇申請書類:
・保護者であることを証する書類
・小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子どもの世話を行うため、契約した仕事ができなくなった日等を証する書類
・発注者と締結した業務委託契約等を証する書類
・振込口座を確認する書類
等
〇申請期間:2021年1月1日(金)~6月30日(水)
〇WEB:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html
◆協力支援金 都道府県ごとに設置
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などに協力したことで売り上げが減少した飲食店や飲食店以外の事業者に対して、都道府県や市町村ごとに支援金が設けられています。
独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営する中小企業向けポータルサイト「J-Net21」において、自治体別支援金情報が確認できます。
〇WEB:J-Net21 https://j-net21.smrj.go.jp/support/covid-19/kyugyo/index.html
<生活支援>
◆住居確保給付金(家賃補助)
新型コロナウイルス感染症により就業機会等が減少し、経済的に困窮している人に家賃相当額を給付するものです。給付金は直接家主等に振り込まれます。
自営業者も給付の対象とされ、「現在の就業先について離職又は廃業することを必ずしも前提とするものではありません」と説明されています。
〇要件:
(1)主たる生計維持者が、①離職・廃業後2年以内である場合もしくは②個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
(2)直近の月の世帯収入合計額が、市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12(以下「基準額」という。)と、家賃(但し、上限あり)の合計額を超えていないこと
(3)現在の世帯の預貯金合計額が、各市町村で定める額(基準額の6月分。ただし、100万円を超えない額)を超えていないこと
(4)求職活動要件として、
(1)の①の場合ハローワークへ求職の申込みをし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
(1)の②の場合誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
〇給付上限額:市区町村ごとに定める額を上限に実際の家賃額を原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)
〇給付額:自治体によって異なる
東京23区の場合は、単身世帯の場合、上限毎月5万3700円
2人世帯の場合、上限毎月6万4000円
3人世帯の場合、上限毎月6万9800円
〇申請期間:~2021年6月30日(水)
〇WEB:厚生労働省 生活支援特設ホームページ https://corona-support.mhlw.go.jp/jukyokakuhokyufukin/index.html
<東京都の助成金>
◆中小企業等による感染症対策助成事業 上限200万円
都内中小企業者等に対し、業界団体が作成した新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等に基づき行う取組費用の一部を助成するものです。
〇対象者:東京都内の中小企業者・個人事業者等
〇要件:新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等に基づき感染症対策に取り組むこと。
〇助成上限額:1店舗(事業所)につき、
・備品購入費のみ: 50万円
・内装・設備工事費を含む場合: 100万円
・内装・設備工事のうち、換気設備の設置を含む場合: 200万円
※申請下限額10万円
〇助成率:2/3
〇対象事業:ガイドライン等に基づく感染予防対策に係る経費の一部
・備品購入費※1点あたりの単価が税抜10万円以上のもの
・内装・設備工事費
〇申請期間:2021年1月4日(月)~6月30日(水)
〇WEB:東京都中小企業振興公社 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/kansentaisaku.html
◆業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業 上限100万円
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う都民の外出自粛要請等に伴い、大きく売上が落ち込んでいる都内中小飲食事業者が、新たなサービスにより売上を確保する取り組みに対し、経費の一部を助成するものです。
〇助成上限額:100万円
〇助成率:4/5
〇対象者:東京都内で飲食業を営む中小企業者(個人事業主含む)
〇対象事業:
(1) 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費 等)
(2) 車両費(宅配用バイクリース料、台車 等)
(3) 器具備品費(WiFi導入費、タブレット端末、梱包・包装資材 等)
(4) その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料 等)
〇対象期間:交付決定日から2021年年8月31日(火)まで(最長3ヶ月)
〇申請期間:2021年5月1日(土)~6月30日(水)
〇WEB:東京都中小企業振興公社 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/conversion.html
<補助金>
◆事業再構築補助金 上限1億円
最大で1億円の補助が受けられる「事業再構築補助金」。コロナの影響により経済が低迷する中、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する目的で定められました。
個人事業主も対象となりますが、認定経営革新等支援機関(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/)などと一緒に事業計画書を策定する必要があるなど、申請のハードルは高くなっています。
〇対象者:日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等(個人事業主含む)
〇要件:下記①、②の両方を満たすこと。
① 2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。
② 経済産業省 が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。
〇補助上限額:
[通常枠] 中小企業者等:100万円 ~ 6千万円
[卒業枠] 中小企業者等:6千万円超 ~ 1億円
[緊急事態宣言特別枠] 従業員数5人以下:100 万円 ~ 500 万円
〇補助率:
[通常枠] 中小企業者等: 2/3
[卒業枠] 中小企業者等: 2/3
[緊急事態宣言特別枠] 中小企業者等: 3/4
〇受付期間:2021年5月26日(水)~7月2日 (金)
〇WEB:事業再構築補助金ホームページ https://jigyou-saikouchiku.jp/
◆小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠> 上限100万円
持続化給付金とは別の、中小機構が実施する補助金です。
小規模事業者等が、経営計画を作成して取り組む、ポストコロナを踏まえた 「感染拡大防止のための対人接触機会の減少」と「事業継続」を両立させる新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入等について支援する事業です。
〇対象者:小規模事業者等
〇対象事業:
以下の条件を全て満たす経費
Ⅰ.補助対象経費の全額が対人接触機会の減少に資する取組であること
Ⅱ.使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
Ⅲ.原則、交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
Ⅳ.証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
Ⅴ.申請する補助対象経費については具体的かつ数量等が明確になっていること
〇要件:ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産性プロセスの導入等に取り組み、感染拡大防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少に資する前向きな投資を行う事業に補助金を受けられます。
(例)
・店内飲食のみの洋食屋が出前注文を受けるためのwebサイトを制作
・旅館が補助金を活用して外国語版webサイトや営業ツールを作成
特別措置として、緊急事態宣言の再発令によって2021年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または対前々年同月比で30%以上減少している場合以下の条件変更があります。
→感染防止対策費を補助金総額の1/2以内(最大50万円)に引き上げ。
→審査時における加点措置を講ずることにより優先採択。
〇補助上限額:100万円
〇補助率:3/4(補助金総額の1/4以内(最大25万円)を感染防止対策に充当可能)
〇申請方法:商工会議所または商工会の確認を経た後、郵送またはインターネットによる電子申請
〇申請期間:~2021年7月7日(水)(第5回締切)
〇WEB:小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>
https://www.jizokuka-post-corona.jp/
◆ものづくり補助金<一般型・低感染リスク型ビジネス枠> 上限1千万円
個人事業主も対象となる本補助金。経営革新のための設備投資等を行う際に利用できます。さらにコロナ禍の今は、「低感染リスク型ビジネス枠」という感染を抑えるための投資に補助を行う枠が設けられています。
〇対象者:日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者(個人事業主含む)
〇対象事業:対象事業新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた投資をすること
・物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
・ポストコロナに対応するビジネスモデルの抜本的な転換に係る設備・システム投資
〇要件:以下を満たす3~5年の事業計画の策定及び実行
・付加価値額 +3%以上/年
・給与支給総額+1.5%以上/年
・事業場内最低賃金≧地域別最低賃金+30円
〇補助上限額:1千万円
〇補助率:低感染リスク型ビジネス枠・ 小規模事業者は 2/3
〇補助対象経費:
[通常枠] 機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
[低感染リスク型ビジネス枠] 上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費
〇申請期間:2021年6月3日(木) ~8月17日(火) (7次締切)
〇WEB:ものづくり補助事業公式ホームページ https://portal.monodukuri-hojo.jp/
◆IT導入補助金2020 特別枠(C類型) 上限450万円
ITツール導入に補助金を交付するもので、新型コロナウイルス対策のために特別枠が設けられています。
〇対象者:中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)
〇対象事業:新型コロナウイルス感染症の影響への対策、拡大防止に向け具体的な対策に取り組む事業者がITツールを導入するのに、優先的に支援を受けられるものです。
〇要件:補助金の交付申請を行う準備として、まずは自社の業種や事業規模、経営課題に沿って、IT導入支援事業者と導入したいITツールを選定し、IT導入支援事業者との間で商談を進め、交付申請の事業計画を策定し申請します。
〇補助上限額:30~450万円
〇補助率:2/3
〇申請期間:~2021年7月30日(金)
〇WEB:IT導入補助金2021ホームページ https://www.it-hojo.jp/
<個人事業者向け資金繰り支援>
経済産業省から簡易的なチャートが公開されています。
以下を参照してください。
WEB:中小企業向け資金繰り支援内容一覧表(4/1時点)
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shikinguri_list.pdf?0401
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