税理士法と「税理士の使命」
「学生法」という法律こそないものの、このような学則や校則は、学生にとって非常に重要な規定です。これに対して、税理士には「税理士法」という法律が用意されており、同法1条には「税理士の使命」が規定されています〔下線筆者〕。

このように、税理士には「独立した公正な立場」が求められているのですが、この規定は、しばしば租税訴訟でも引用されます。
例えば、確定申告書の作成を依頼するに当たり、納税者が税理士に対して隠蔽仮装(例として、預貯金や収入の存在を隠したり、虚偽の答弁をするなど)をした場合に、税理士は「独立した公正な立場」にあるのであって、単なる履行補助者ではないから、税理士に対する隠蔽仮装は重加算税の対象になるというような理解が展開されてきました。
なるほど、税理士に「独立した公正な立場」が求められているのは事実ですが、そのことよりも、実際にそういった立場で当該納税者と接していたのかどうかが問題なのではないでしょうか。
例えば、息子が夕飯の時間になっても子供部屋から出てこない時、「また、ゲームに没頭しているんじゃないか」といぶかって、「いつまでもゲームしてないの!早くしないとお味噌汁が冷めちゃうわよ〜!」と怒る親は多いように思われますが、「学生の本分は学業である」ことから、「きっと、あの子は勉強しているに違いないわ」と安心する親はあまり多くないのではないでしょうか。
仮に「学生の本分は学業である」からといっても、実際のところどうなのかが重要なのであって、あるべき税理士像を素材として、重加算税の賦課の適否を考えるのは、筋が違ってはいないかと疑問に思うところです。
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中央大学法科大学院教授/法学博士
中央大学法科大学院教授。法学博士。現在、税務会計論・租税法などを担当。一般社団法人アコード租税総合研究所 所長、一般社団法人ファルクラム 代表理事。単著に『スタートアップ租税法〔第4版〕』、『クローズアップ保険税務』、『クローズアップ事業承継税制』他5冊のアップシリーズ、『所得税法の論点研究』(財経詳報社)、『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』、『裁判例からみる法人税法〔三訂版〕』、『裁判例からみる税務調査』、『裁判例からみる保険税務』(大蔵財務協会)、『レクチャー租税法解釈入門』(弘文堂)、『プログレッシブ税務会計論Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ』(中央経済社)、『アクセス税務通達の読み方』(第一法規)、『キャッチアップ企業法務・税務コンプライアンス』、『キャッチアップ外国人労働者の税務』、『キャッチアップ保険の税務』(ぎょうせい)など。その他、論文多数。
■一般社団法人アコード租税総合研究所
http://accordtax.net/
■一般社団法人ファルクラム(FULCRUM)
https://fulcrumtax.net/