5.解説
源泉徴収による国税について、納税の告知があるべきことを予知してされたものでないときの不納付加算税は軽減される(通則法67②)が、この「予知して」されたかどうかは過少申告加算税(通則法65)の場合に準じて解すべき[3]とされているので、以下、通則法65条5項の加算税免除理由である「更正の予知」を前提に論じることとする。
申告納税制度が採用されている国税において、どのタイミングで提出された修正申告書であれば更正の予知がなかったと認められるかについて、特に税務調査との関係でどのように考えるかについて学説上見解が分かれている。この問題の背景には、税務職員による調査があってから修正申告が提出された場合には加算税を免除すべきではないという考え方と、自主修正により自発的に是正された場合には、調査開始後であっても、端緒の把握や非違の指摘があるまでに提出した修正申告書か自主修正として加算税を賦課すべきではないという考え方の対立がある。これについては、更正の予知があった時点として、税務調査の進展のプロセスの順に、①調査着手説、②端緒把握説、③不適正事項発見説の3つがあるといわれており[4]、学説上は②が通説とされている。
本件では、源泉所得税の告知処分について、原処分庁側が①の考え方を採用したのに対し、審判所は②の考え方を採用したものと解される。すなわち、審判所は、単に税務職員が調査を開始したというだけでは処分の予知があったと解すべきではなく、当該職員が何らかの非違の端緒となる資料を発見する段階までは加算税を課すべきではないと判断したのであり、その結果、請求人にとって妥当な結論を導いたものと思われる。
[3] 志場・荒井他「国税通則法精解15版」(大蔵財務協会・平成28年)762頁
[4] 酒井克彦教授の税理士登録時研修講義レジュメを参考とした。
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